郷土に根づく伝統食「とち餅」でおなじみの栃の実(とちの実)は、見た目は栗に似てはいますが、栗の実とは異なり、かなりアクの量が多くてそのままでは食べることができません。そのままでは口にすることのできない栃の実ですが、昔は飢饉をしのぐための大切な食べ物だったそうです。とちの実をアク抜きをするにはいくつもの工程を経る必要もあり、かなりの時間と労力を要します。また、アク抜きのため灰を使用するだけでなく水も大量に必要で、天然の清流に恵まれた地域などでないと、なかなか大変かもしれませんね。一度、このアク抜きを経験すると、普段なにげなくいただいていた「とち餅」が、こんなにも手間がかかっていて、昔の人の生活の知恵がつまったものだと実感するかも。

材料

  • 栃の実   2kg(殻付き)
  • 木灰    2kg(楢灰)

道具

作り方

1.ボウルや大きな鍋などに入れ、栃の実を水に浸しておく。2~3日ほど、定期的に水を替える。

※栃の実ひろいからはじめた場合は、ざるに広げて天日干しする。

2.熱湯に浸けて一晩置く。

3.栃の実の皮を剥く。

4.剥いた実を1週間から2週間程度水にさらす。
※流水が望ましいが、難しい場合は、まめに水を替える。
※かなりの泡(アク)が出ます。

5.一度ざるにあげた栃の実に、熱湯をかけて1時間以上置く。

6.5をざるにあげる。容器の中に栃の実を入れて、栃の実の同量~2倍程度の木灰をまぶす。
※あれば、蓋つきの保温できるような発泡スチロールなどが望ましい。
※2kg程度の栃の実も、皮を剥き、何度もアク抜きをしているうちに角が崩れるなどして重量は減ります。

7.熱湯を入れて全体をまんべんなく混ぜ、蓋をして1~3日浸けておく。

8.灰を洗い落として、再度水に一晩さらす。
※泡(アク)はでなくなり、色が黄色っぽくなっています。

Styling / Photo / Recipe / Text : Aki Sato