干さなくても梅干し?
本来梅干しというものは、「梅」「塩」「しそ」のみでできるもの。それなのに、スーパーやコンビニの棚に並ぶ「梅干し」の原材料表示を見ると、その多くには梅、塩、しそ以外のものがたくさん記載されています。
本来は酸っぱくてしょっぱいはずの梅干ですが、近年は酸味をおさえた、まろやかな味ものが増えました。原材料表示を見ると、甘味料(還元水飴、蜂蜜、砂糖、ステビアなど)を使用しているものが多いことに驚きます。昔のように、極端に真っ赤な梅干しは減ったような印象はありますが、合成着色料(黄4号、黄5号、赤102号、赤106号など)、天然由来であっても紫蘇以外のもので着色されているものもたくさんあります。化学調味料により味付けされている商品もあり、最近では、昔ながらの無添加梅干の方が、むしろ珍しいのかもしれないですね。
原材料表示の「名称」の欄をよく見てみましょう。これらのほとんどは「梅干」ではなく、多くの添加物とともに、「調味梅干」「調味梅漬」と記されていることに気づくはずです。
「農産物漬物の日本農林規格」では、「梅干し」は「梅漬けを干したもの」であり、「梅漬け」とは、「農産物塩漬け類のうち、梅の果実を漬けたもの又はこれを梅酢若しくは梅酢に塩水を加えたものに漬けたもの(しその葉で巻いたものを含む。)をいう。」と定義されています。わかりやすく言うと、主原料に「梅」「塩」「しそ」以外のものを使用しているもの、干す工程のないものは「梅干し」ではない、ということですね。マイルド系の梅干は、たいてい「調味梅干」であり、あのカリカリとした食感の梅は「調味梅漬」。本当の“梅干し”ではありません。
減塩志向は良いけれど
では何故「調味梅干」が増えたのでしょうか?
その理由の1つには消費者の低塩、減塩志向にあるといいます。「塩分のとりすぎは健康に良くない」ということで、昔ながらの酸っぱい、しょっぱい梅干が敬遠されてしまうようになりました。
本来は保存食であるはずの梅干しですが、塩分を低くすれば当然長期保存ができなくなります。調味梅干の多くは、塩漬けした白干の梅を水にさらすなどして脱塩し、添加物を含む調味液に漬け込んで作られます。保存性を高めるために添加物を使用し、味をマイルドにするために様々な化学調味料が使われるのです。
昔は、毎年梅の季節になると各家庭で梅干しづくりをするのが当たり前だったわけですが、最近では梅干しは漬けるものではなく買うもの、という方が多いようです。選ぶときに、塩分の%を気にされる方は多いと思いますが、塩分だけで判断しないようにしましょう。また、「国産」の文字や有名産地、梅の品種、合成着色料不使用の文字だけで、勘違いしないように注意したいですね。
選ぶポイントは、「調味」された梅干しではないもの。あえて減塩のマイルドなものを選びたいときも、原材料をよく確認しましょう。塩はできれば自然塩にこだわっていることが明記されているものを。梅は国産で、できれば農薬不使用のものを選びたい。昔ながらの伝統製法で作られた、本物の梅干しをぜひ選んでください。


