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葛湯、葛餅、葛切り、、、と、古くから日本人に馴染み深い食材、葛(くず)。この葛というのは、山野に生育しているマメ科のつる性植物で、紅紫色の花を咲かせます。漢方薬でおなじみの葛根湯(かっこんとう)も、この葛の根っこが主原料となっていて、最近では葛の花も健康食品などで注目されている素材のひとつです。

「葛粉」は、葛の根の中に含まれている澱粉を精製して粉状にしたもの。この葛の根っこの部分を掘り起こし、粉砕して水の中でもみだすと、根の中に含まれている澱粉が出て沈殿します。この水で晒してアク抜きし沈殿させる工程を何度も繰り返し、最終的に不純物を取り除き、乾燥して製品化されるのです。

ところが一般的に「葛粉」として販売されているものの多くは、葛粉だけではなく甘藷などの澱粉を加えたものです。「本葛」という文字があったとしても「本葛を使用している」つまり、「葛100%の葛粉も配合している」ということであって、100%葛からできているとは限りません。本物の葛粉を見分けるにはまずは「本葛」という文字をチェック。そして、原材料表示を見て「葛」のみを使用しているものを選ぶようにしましょう。

また、葛粉が100%葛であるとは限らない、という話は「葛切り」に関しても同じことです。一般に販売されている乾物の葛切りは、たいていは他の澱粉が加えられています。多くの人たちが鍋の時期に「葛切り」と思って購入しているであろう、有名な某製品などは、ジャガイモ澱粉やコーンスターチからできていて、葛は一切入っていません。

「本葛入り葛切り」と「本葛100%葛切り」、比べてみると一目瞭然!

「本葛入り」とパッケージに書かれている葛切りも、葛を使用している、つまり「入っている」ということであって、その割合までは定かではないのです。葛100%の葛切は透明感のある中に、淡くやや飴色がかった色をしているのですが、葛以外の澱粉の割合が多いものは白さが際立っています。

加熱しても同じで、やはり、葛以外の澱粉が多いものはクリアで透明な色となります。

国産本葛を100%使用した「葛切り」は、オーガニック専門店や自然食品店などでは取り扱っているところが多いですよ。希少である上にやはりお値段も高めですが「ホンモノの葛切り」を味わってみたい方は、是非探してみてください。また、一般のスーパーで販売されている葛切りを選ぶときは、葛粉と同じく「本葛」の文字があるかどうかをチェック!原材料表示は重量の多い順に記載されるルールがあるため、一番先に「葛」の文字があるものを選ぶとよいと思います。良心的な製品は本葛の配合割合を書いてあるものもあるので、パッケージデザインや価格だけを見て選ぶのではなく、原材料表示や説明表示をしっかり読んで選ぶようにしましょう。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。