「みりん」はお酒

照り焼きや煮物など、和食の味付けに欠かせない調味料「みりん」。もともと「味醂」とは、酒税法上の分類では混成酒類にあたる「酒類」であることをご存知でしょうか?

みりんは、江戸時代やもっと前から女性や下戸の方に人気が高い甘いお酒だったとか。実はお正月に飲まれるお屠蘇は、数種類の生薬を調合した屠蘇散(とそさん)をみりんに漬け込んだ薬酒。現在は、お正月にお屠蘇をいただくくらいで、調味料としての用途として使うことがほとんどですが、みりんは、餅米と米麹に焼酎またはアルコール(場合によっては糖類)を加え糖化熟成させて濾したもので、アルコール分が15度未満のれっきとした「お酒」なのです。

みりんは酒税法上の酒類であるため、ビールや日本酒、ワインと同様に、製造はもちろんのこと、販売をする際には「一般酒類小売業免許」を取得する必要があります。免許を取得していないお店では当然扱うことができないわけですが、食品を販売するお店では調味料の品ぞろえとしてはみりんは必要なもの。そこで、「みりん風調味料」や「発酵調味料」など、みりんと同じように使える調味料が販売されるようになったというわけです。

あなたのキッチンにある「みりん」のラベルを読んでみて!今までみりんだと思ってお料理に使っていたものも、実はそうではないかもしれないですよ。名称の欄には何と書かれているでしょうか?酒類である、本物のみりんには「本みりん」と書かれ、アルコール分も14度前後の表示があるはず。 みりん風調味料、発酵調味料、醸造調味料などと書かれているものは、「みりん」ではありません。みりんではない製品には「本品は酒税法上の酒類に含まれません」と書かれているので、よくパッケージをチェックしてみてください。

「本みりん」と「みりん風調味料」

スーパーの棚に並んでいるものの多くは、パッケージに「みりん風」とか、「みりんタイプ」の文字が書かれていて、パッと見ただけなら「みりん」だと勘違いしてしまいそうです。また、酒類の販売免許を持たないお店では「本みりん」が棚に並んでおらず、選択の余地がないこともあるかもしれません。

しかしながら、「みりん風調味料」や「発酵調味料」がすべてニセモノだからいけない!というわけではないので安心してくださいね。米、米麹、食塩を原料とした発酵調味料、米や米麹など有機原料を使用しているみりん風調味料など、とても良い製品も販売されています。

「みりん風」を選ぶ場合は、余計な添加物を使用していないものを選ぶようにしましょう。糖液に化学調味料を加えたアルコール1%未満の「みりん風調味料」は、あまりおすすめできません。酒税がかからない分、お値段もお手頃ですが、本みりんとは全くの別物です。このような製品は、たいてい原材料の一番トップに「水あめ」などの糖類が書かれています。最近は、低カロリーでヘルシーなものと謳った、還元水あめ、エリスリトール、ステビアなどの甘味料を使用しているものなども出ているようなので要注意ですね。

自然食品店などで販売されるものの中には、米と米こうじを原料に、日本酒の基もろみを醸造して食塩を加えゆっくりと糖化熟成させた、アルコール分を10%以上含む醗酵調味料などがあります。塩分を含み、本みりんのようにお酒としては飲むことはできませんが、決して引けを取らない美味しさ。お料理に上品な甘さとコク、うま味やよい風味を与えてくれること、間違いありません!

良いみりんの見分け方

「本みりん」と名がつくものなら何でも良いわけではありません。本みりんの中には、「もち米・米・米麹・醸造アルコール・糖類」のように、本格焼酎の代わりに醸造アルコールを使用し、糖類などを加えて、短時間で製造されているものもあります。

もし「本みりん」を選ぶなら、原材料が「もち米・米こうじ・焼酎」のみのように、原材料がシンプルであることがポイントです。伝統的な製法でじっくり時間をかけて作られているものを選びたいですね。焼酎の仕込みから手がけ、国産有機米を使用して長期間醸造熟成させた、有機の「本みりん」を造っている老舗の製造者さんもいらっしゃいます。深い味わいで飲んでも美味しく、これだけでびっくりするくらい、料理がとっても美味しくなっちゃいますよ!

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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