魚を買うときに、「天然」か「養殖」の表示を見て選ぶ人は多いと思います。一般的に養殖魚は、生簀(いけす)など狭いスペースの中で、人間によってエサを給餌(きゅうじ)されて育ちます。生産性を高めるため、過密状態のストレスのかかる中、栄養価の高い配合飼料を与えられる養殖魚。病気を予防するために抗生物質などの薬を投与されることも知られており、魚の安全性への懸念から、「天然魚」を積極的に選びたいと考える消費者が増えています。
例えば、鮭。9~11月頃、産卵のため生まれた川に戻ってきた「秋鮭」。旬の生秋鮭は天然物なので、養殖の鮭に比べれば脂は少ないけれど、ヘルシーです。身の色が赤いのは、鮭が食べているエビやカニなどの甲殻類などに含まれる、アスタキサンチンによるもので、当然天然の色なのです。
海外から輸入される養殖サーモンは、とてもきれいなオレンジ~ピンク色をしたものが多いですよね。養殖された鮭は身の色を美しくするため、エサの中に人工的な添加物を混ぜるケースもあるという話も聞きますが、表示で確認はできません。まずは国産なのか輸入品なのか?原産国を確認。そして「天然」か「養殖」かをチェックして、できれば天然ものを選ぶようにしたいですね。
また、それに加え、流通段階で使用される「添加物」をチェックすることを忘れないようにしましょう。なぜなら、切り身や刺身など加工度が低い水産物にも、酸化防止剤や発色剤などの添加物が、パック詰めなどの際に使用されることもあるからです。
上の写真にある海外産の紅鮭は、養殖ではなく沖合で漁獲された「天然」ものであるとシールで表示されていました。洋上で捕獲した紅鮭を塩蔵していることから、食塩も使われていますが、その次に「発色剤(亜硝酸Na)」の文字がみられます。赤身の色を保つために添加されているのでしょう。
水産物の表示については、JAS法による表示が定められています。国産品には、水域名又は地域名を記載。水域名の記載が困難な場合、水揚港名か水揚港が属する都道府県名を記載します。輸入品は、原産国名を記載(水域名を併記可)。また、養殖されたものである場合には「養殖」と記載。冷凍したものを解凍したものである場合には「解凍」と記載しなければなりません。
消費者は、これらの表示を見て購入の際の判断基準のひとつとしているわけですが、「天然」であるものを選んだとしても、切り身などの水産物加工品となっているものなどは、念のため原材料表示もよく見てみることをおすすめします。
ちなみに「刺身の盛り合わせ」については、加工販売事業者による自主的な原料原産地等の表示の取組を推進するにとどまっており、自主指針は設けられているものの、産地表示は義務対象外となっています。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。