「梅酢」ってどんなものなのか?何に使うものなのかをご存知でしょうか?「酢」の文字がつくことから、「梅からできるお酢」「お酢に梅を漬けたもの」などを想像する方が多いと思います。でも、実は「梅酢」はいわゆる醸造酢の類ではなく、梅干しを作る過程でできる、いわゆる副産物なのです。
自家製の梅干しを作る過程で知り得る「梅酢」の存在。最近は梅干しを漬ける家庭も減って、スーパーやコンビニで梅干しを買う方が多くなったため、梅酢が何か?を知らない人のほうが多いかもしれないですね。
梅干しを作るとき、まずはじめに実に塩をまぶして塩漬けにする工程があります。重石をして置いて数日すると、透明な液があがってくるのですが、この梅に含まれるクエン酸たっぷりの液体が梅酢であり、「白梅酢」と言われるものです。
そして、赤紫蘇を加え紅色となった梅酢は「赤梅酢」と呼ばれます。紫蘇漬けの梅干しを漬ける際、下準備において赤紫蘇を塩もみしてアク抜きをします。そしてその後に白梅酢を加えるという工程があります。アク抜きの際に出る灰汁は、黒っぽい紫色なのですが、白梅酢を加えることでこの黒っぽい紫蘇の汁がぱっと鮮やかな紅色に変化。これは赤紫蘇に含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニン系色素のシソニンが、白梅酢に含まれるクエン酸と化学反応して起こる現象です。この赤く染まった液体が、「赤梅酢」です。
梅干しを作る過程でできる梅酢ですが、調味料としてお店で購入することも可能です。オーガニックスーパーやマクロビオティックの食材を扱うお店などでは、たいてい扱っていますよ。
白梅酢は、色をつけないので、梅の風味や塩分を使いたい料理におすすめ。酢飯に使ったり、焼き魚などにかけていただいたり、酢の物やあえものなどにも使えます。赤梅酢は新生姜やミョウガ、カブなどを漬けるときに使うと、色鮮やかになります。赤い色と紫蘇の風味を生かして、野菜のピクルスや、オイルと合わせてドレッシングなどに使用するのも良いですね。
梅酢はお酢と同じようにお料理に使うことも可能ですが、塩分も多く含まれているので注意しましょう。特に、自家製の梅酢はそのご家庭によって塩分が異なるので、分量や味の調整は必要です。
天然の梅エキスがたっぷりと含まれる梅酢には、疲労回復にも効果的と言われるクエン酸など、梅の栄養素がそのまま詰まっています。昔から、お米を炊く際に加えたり、万能調味料として料理の風味付けや様々な料理に幅広く使われてきたほか、殺菌力があることから、お腹の調子の悪い時や、うがいに利用されることもあるそうです。食中毒が増える夏場にかけて、特にお料理に活用すると便利ですね。クエン酸が豊富なので、スポーツをされている方や疲れやすい方など、薄めてドリンクとしていただくのも良いと思います。夏バテ予防にもおすすめですよ。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。