フェアトレードチョコレートやオーガニックチョコレートにはじまり、ヴィーガンチョコレート、ローチョコレート、高カカオチョコレート・・・。チョコレートの選択肢が増える中、産地や品種など原料のカカオ豆を選ぶところからチョコレートが作られるまで、すべての工程を一貫して行うBean to bar(ビーントゥーバー)専門店が続々と誕生しています。また、海外のスーパーフードブランドも続々と日本に上陸し、「カカオニブ」や「ローカカオパウダー」といった原料がより身近なものとなったことも後押し。今までは手づくチョコレートといえば、市販の板チョコレートを溶かして好きな型に入れて冷やし固める、といった程度だったものが、原料レベルからの手作りをする人も増えてきました。
そんな中、オーガニックのカカオ豆を入手したので、実際にカカオ豆からチョコレートを作ってみることにしました。すり鉢で微細化するには限界があります・・・。やはり専用の機械を使わないと、販売されているようなクオリティにはならないのですが、あらためて、チョコレートって何から、どうやってできるのか?を再確認したいと思います。
豆の選別→洗浄→焙煎
脱殻(カカオニブ)→粉砕
摩砕・微細化(カカオマス)→原料混合
※砂糖・カカオバターなど追加。
精練(コンチング)→調温(テンパリング)
※通常コンチングマシーンを使ってなめらかに練り上げる
型に充填→冷却
手前の粒が粗いものは、カカオ豆と砂糖(ココナッツシュガー)のみ。ツヤがあるのは、これにカカオバターをプラスしたもの。コンチングマシーンを使っていないため粒が粗いですが、カカオ豆に含まれる油脂分だけでも固まり、カカオ豆+砂糖だけでも美味しいです。カカオバターを追加した方は、口当たりが滑らかになります。
■カカオ豆・・・収穫されたカカオの実の種を発酵・乾燥させたもの
■カカオニブ・・・カカオ豆の皮と胚芽を除いて粗く粉砕されたもの
■カカオマス・・・カカオニブをペースト状に磨り潰したもの(液体状:カカオリカー)
■カカオバター・・・カカオ豆(カカオニブ)に含まれる脂肪分。カカオリカーから圧搾
■カカオパウダー・・・カカオマス(カカオリカー)から脂肪分(カカオバター)を脱脂して粉末にしたもの
チョコレートが甘いのは砂糖が入っているからであって、実はカカオ豆そのものは甘くないのです。一般のチョコレートの多くは「カカオマス」に、砂糖などの糖類、全乳粉や脱脂粉乳などのミルク、ココアバターもしくは植物性油脂などを加えてつくられています。大量生産された安価なチョコレートの原材料表示を見ると、一番最初に「砂糖」の文字が来るものが多いのに驚きます。また、カカオバター(ココアバター)の代わりに「植物性油脂」を使っているもの、乳化剤や香料が入っているものも。チョコレートを買うときは、パッケージの裏に書かれた原材料表示を見て、より健康的なものを選ぶようにしましょう。
また、ダークチョコやブラックチョコレートだからといって、すべてが高カカオであるとも限らないので注意したいですね。カカオの配合量を%で表示しているものもありますが、カカオマスはもちろんカカオバター(ココアバター)もカカオ由来であるので、合計の表示となっています。原材料表示は重量の割合が多いものから表示されるので、1番初めにカカオマス、2番目にカカオバターがくるもの(またはカカオバターや植物油脂などを使っていないもの)が、カカオ含有量が高くヘルシーなチョコレートの目安の1つと言えるでしょう。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。