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ここ数年、海外のフェアトレードやオーガニックのチョコレートが人気ですね。有機JAS認証を取得したチョコレートも、売り場でたくさん目にすることが多くなりました。そんな中、同じブランド、シリーズのチョコレートなのに、オーガニックと書かれてるものと書かれていないものとがあります。それはなぜでしょう?有機JASマークがついてはいないのに・・・法律違反じゃないの?そんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?

基本的に「有機」「オーガニック」と表示していいのは、有機JAS認証製品のみです。そしてその認証(有機農産物加工食品)を取得するためには、有機農産物を95%以上含んでいる必要があります。また、有機JASマークを製品につけることができるのは、日本国内または海外の事業者により、日本の有機JAS制度により認定、製造されたもの。または、同等国で生産され海外の認証マークがついているものを、輸入業者が手続きをしたうえで有機マークを貼ったものです。

以下の2つのラベル例は、いずれも海外のオーガニック認証を取得しているが『有機JAS認証を取得していない』チョコレートです。

お気づきでしょうか?よく見てみると、「有機」「オーガニック」の明記があります。さらに

『スイス基準に基づく有機農畜産物加工品』
『欧州委員会有機規制の基準に適合した、農畜産物加工品』

といった説明文が書かれているのに気づくと思います。

◎有機JASマークなし
◎同等国からの輸入品
◎海外の認証あり
◎「有機農畜産物加工品」である旨の記載あり
◎ラベル表記に「有機」「オーガニック」の記載あり

オーガニックチョコレートは海外で製造されたものを輸入しているケースが多いですね。チョコレートの基本となる材料はカカオマスとココアバターと砂糖。そして、ダークチョコレートやヴィーガンチョコでなければ、多くの製品に乳製品(全乳粉)が使用されることになります。つまり、乳製品を使用したミルクチョコレートやホワイトチョコレート(有機農産物以外の原料が5%以上含まれるもの)は、有機農産物と有機畜産物の両方を使った「有機農畜産物加工食品」ということになるのです。

多くのチョコレートのように、有機農産物と有機畜産物の両方を使った加工食品は、有機JASマークの義務付けはなく、マークを付けずに「有機」と表示しても違反とはならないのですが、原料や作り方が有機の基準であることが前提となります。(有機でないのに表示すれば景品表示法の優良誤認などに抵触する可能性があります)

事例にあるように、海外の認証を受けた同等国のオーガニック製品で、なおかつ「有機農畜産物加工食品」にあたるチョコレートなどは、有機農畜産物加工品である旨、つまり有機JASマークが義務付けられていない製品であることを示したうえで、「有機」「オーガニック」といった表現をしているのです。

なんとも、難しい。

※こちらの記事は2015年2月1日現在の内容です。

2020年7月16日より、有機畜産物及び有機畜産物加工食品は、有機JASマークを付さなければ「有機」等との表⽰はできないことになりました。従来の農産物等に加えて、肉、卵、ハム、チーズ、ミルクチョコレートといった畜産物やその加工品も「有機」「オーガニック」と表示する場合には、輸入品を含め有機JASマークの表示が必要になります。

▽【農林水産省】有機畜産物及びその加⼯品の指定農林物資化 2020年7月16日
https://organic-press.com/news/administrative_news202001-01/

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。