バンコクで6月はじめに開催されたTHAIFEX- World of Food Asia 2017を見に行った。会場は二つの巨大なビルにまたがり、タイ企業と海外企業に分かれ、今年も大盛況だった。
オーガニックブースは海外企業が並ぶ会場の一角につくられ、毎年、顔を見せる手堅いタイオーガニック企業が出展していた。その中に見つけた今年の新顔は、食材を粉にする機械が導入されたのか、オーガニック農産物を乾燥して粉にした製品が目立っていた。どこも若い世代が起業した比較的新しい会社だった。
展示会にやっと間に合わせたというタイ風味の天然粉末調味料
タイの花の粉末。美しい天然の色がつく
海外からのオーガニックメーカー出展は、前回よりやや少なかったような気もしたが、イスラム教徒のための「ハラル食材」を扱うコーナーができていた。東南アジアではイスラム教徒は珍しくない。イスラム国に住んでなくても、タイでもイスラム教徒だとういう人はたくさんいるわけで、タイの食品業界としてはハラルマークを取得することイコール、売れ行きにつながる。日本にいると遠い話だろうが、意外とイスラム教徒に人口は多い。
会場のハラルコーナー
タイで生産されてる有機農産物は確実に増えている。オーガニックのタイ米は世界中に輸出されている。だがJASを取得している企業はあまり見かけない。まずは絶対数が多い、USAやヨーロッパオーガニック認証を取得しようという気持ちはわかるが、問題はその後だ。思うにタイ人気質も微妙に影響して「売上まあまあだしな~。JASはそのうちでいいっかぁ~」と、一年延ばしになっているような気がしてならない。
オーガニックブースの様子
タイ人は和食が大好きで、寿司もラーメンもお茶、もはや日本におけるスパゲティやコーヒーと変わりはない。となれば、今後は、どのタイミングで安全で美味しいオーガニック日本食品が入っていけるか、というところに絞られてくるわけだが・・・残念ながら、オーガニックであってもなくても、中小の日本食品企業がタイに根付いたという話は、今のところ聞かない。原因はタイ国内で輸入品の流通や、卸しをサポートする会社が育っていないためだ。タイマーケット形態はだいぶ変わってはきたが、メーカー側が店内まで製品を届けて並べ、メンテナンスすることが要求される。ここにオフィスがないとどうにも続きようがないのだ。
明るいニュースとしては、このところタイ企業はみごとなほどに世代交代が進んでいて、「子供をあやしていた彼女が社長?」ということも、「髪の毛を固めて立ててるパンク系のお兄さんが三代目社長なんだ!」と、戸惑うことシバシバ。時代は音を立てて変わりつつある。
彼らは幼いころから日本のアニメや漫画、ゲーム育っただけあって、私が関わって来た一世代前のタイ人とは全く違う。どこか日本の若者と話しているような錯覚に陥るほど、自由で明るい伸びやかな感性を持っている。彼らがしきり出せば、きっと流れは変わっていくだろう。
じゃあ、60代になった先代達は何をしているかというと、仏教活動を始める人が多い。インドの聖地にお釈迦さんツアーに出かけたり、寺の奉仕活動に参加したりと、今までの浮世の垢を一気に解消するかのような暮らしぶりである。
私がタイに住み着くきっかけとなった、カオコータレプーオーガニックプァームも然り。先代は1970年代を学生運動に明け暮れ、ジャングルをアジトとし活動、その後、私財をなげうってハーブ園を始めた強者だ。高度成長の中を「自然と共にあれ」と叫び続け、どこまでも戦い抜いた人だった。それが「これから、やっと主張が通じる時代になるね」という矢先に、あっさり引退。後を息子に譲って、今はお坊さんのお世話に明け暮れているらしい。
息子のヨンちゃんはもちろん日本のアニメで育った。鋭い舌の持ち主で、私のタイの教え子第1号でもあり、ハーブはハーブでも彼が得意とする食の分野に業務を移しつつある。つい最近もスクンビットのデパートで、自らが企画した商品の営業活動に明け暮れていた。
彼が売るビーガンのおしゃれな食品 もちろんオーガニックを目指している
どんな出展でも、望むような取引相手やお客に出会うことは難しい。日本の秤だけを持っては通用しない。でも相手を受け入れる姿勢さえ持っていれば人脈はなんとはなしに広がり、驚くような展開も連れてくる。「ドラえもん世代」は一体どんな繋がりを築くのだろうか?
日本の若きオーガニック企業家達も機会があれば、世界のマーケットで、商品という形になった自分たちの感動を伝えて欲しいと思う。
ビーガンカノムチン
ご飯の代わりに、やや発酵させたお米の麺で食べます。玄米麺でもソーメンでもできます
- 王国のカレーペースト 15~25g
- がんもどき又はつみれ 100g
- キノコや野菜 250g
- ココナッツミルクか豆乳 1カップ+1/2カップ
- 水 1/2c
- ナンプラー 小さじ2
- みりん 大2 又はお好きな甘み少々
- 茹でたソーメン 適量
- 鍋にココナッツミルク1カップとペーストをいれて中火でオイルが浮いてくるまで混ぜ炒める。
- 野菜と厚揚げを入れる。
- 野菜が柔らかくなったら、ココナッツミルクと水を加え、ナンプラーと甘みで味を調節して5分煮る。
- ソーメンの要領でタイカレーをかけて食べる
※レッドカレーバーションも同じようにできます。
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無添加!王国のグリーンカレーペースト
タイの昔のレシピで調合、辛さとハーブがミックスされた本場のタイカレーペースト。
バンコクの約400店舗のお店がこのペーストを使用しています。 タイ語でグリーンカレーは「ゲンキョウワン」といい、甘いカレーと言う意味です。本来はココナッツミルクの甘みを楽しむカレーとして作られ、砂糖は使われていませんでした。この商品には、動物性食品、油脂、砂糖は使用されていません。
原材料:青唐辛子、ガーリック、レモングラス、ガランガル、カフェライム、シャロット、胡椒、塩
内容量:50g
価格:432円(税込)
▽公式オンラインショップへ
http://gaiatablethai.shop-pro.jp/?pid=56418942
木幡恵プロフィール
20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。
タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。
■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)
★Gaia Table 南国食日記
http://gaiatable.com/diary/
★ヤムヤムホームページ
http://www.gaiatable.com/