Project Description

ピーチエアーが今年2月から就航した。バンコク・スワナプーム国際空港を真夜中に飛び立てば、3時間20分で沖縄に着く。運賃も往復で3万円を切るほどのお手頃価格だから、日本がアジアにグィーンと片腕を伸ばしてくれたような気がした。

ある日、スマホで「世界の天気」をチェックしていたら、バンコクが1番暑い37度のころ、沖縄は24度だということに気がついた。暑さから逃げ出せて!半袖でまま旅ができて!読みたかった日本語の本が買え!使い切ってしまったオーガニック食材もそろえることができる!関東平野の自宅には帰れずとも、日本の最南端にタッチすれば、これだけのことが叶うのだもの、迷うことなく、出かけることにした。

タイ人の間でも、沖縄はタイと同じような匂いを感じるらしく人気がある。今回はタイ人夫婦と4人の旅行となった。

バンコクの沖縄居酒屋で開催された沖縄ライブ

ご存知だろうか? チャオプラ川上流のアユタヤという街を。ここには、アユタヤ王朝の時代、山田長政が活躍したあの頃、「日本人町」があった。だが、当初は「琉球町」と言われ、琉球の人たちが住んでいた地域だったという。

泡盛もタイの酒「ラオロン」から、発展したものだという有力説があるように、琉球王朝だった沖縄は、シャムの国だったタイと、歴史的にもかなり交流があったようだ。

アユタヤ王朝の王宮

翌日、早速、観光に出かけた。南部をまわり、昼にアーサーそばの店に寄った。ネットで見つけておいた店で、昔ながらの民家がお店になっている。目立った看板もなく、ナビを頼りにたどり着いたのだが、驚いた。店内は大混雑。庭で15分ほど待たされた。やっと席を確保でき、お客さんと店の人のやりとりが聞こえて来て、もう一度驚いた。

「えっー? イングリッシュ!!」

反対側のテーブルも、後ろのテーブルも、聞こえてくるのは、やっぱりイングリッシュと、日本語じゃない言葉。韓国、中国、タイ、いやいや、それ以外の判断不能な言葉も聞こえてくる。沖縄を訪れる観光客は4人に1人が外国人、畑の中のそば屋は、エアポート並みの国際化だった。

どこから調べてくるのだろう。外国人にも人気の沖縄そば店

車で島内を旅する楽しみの一つとして、キッチン付きのホテルに泊まって、自炊を始めた。毎日、近くのスーパーに食材を買いに行き、それぞれ好きなものを作るのだ。

タイ人の二人は、私がみたこともない魚を指して「これ、タイにもある!」と、ますます沖縄に親近感をよせている。タイ語の名前を言われても、学名でも調べない限り、この魚が同じものか、わからないのが、島らっきょうも、海ぶどうも、島豆腐も好物だった。

妙にタイ人の心を捉えたお菜もあったので、みなさんにも異文化交流を実感してもらえたらと「タイ人が気に入ったもの日本食ベスト3」を作ってみた。

第3位はアラ汁 

定食屋で出会い、3日通いつめたというメニューである。アラ炊きは、タイでも日本料理としてあるが、味噌汁の中に魚がドカンと入ったものはない。日本人的には、まかない料理であるが、気取らない旨さが心に届いたようだ。スープ好きな国民だけあって、アラ汁をすすりながら、ご飯を食べる姿は、トムヤムクンをすすりながらご飯を食べる、いつもの雰囲気そのままだった。

第2位はホタテとゴーヤのチャンプル 

ホタテはタイでは高級品なので、市場でホタテを発見した彼女は「絶対美味しい!」と宣言!ゴーヤチャンプルを作ってくれた。

「ホタテは沖縄のじゃないと思うよ、北海道じゃない?」とは言ってみたが、
「北海道は日本だよね?」と、言われると、「ハイ、そうでゴザイマス」としか言えない。

タイにもゴーヤはあるが、小さくて強烈に苦く、大きめのゴーヤを使ってみたかったふしもある。出来上がった皿を前にうっとり。「なんて、ハイソ」。北海道と沖縄とタイが手を組んだ力作だけあって、これが思いのほか合格。ゴーヤの季節が来たらお試しください。

第1位はジーマミー豆腐 

ジーマミー豆腐というのは、ピーナッツから作った、胡麻豆腐のような食感の、沖縄ならではの伝統食のひとつである。いろんなメーカーのものを買ってきて、アレガイイノ、コレガイイノ…毎日試食。

タイでも簡単に手に入る、ピーナッツとタピオカ粉で出来そうだとわかると、目がハート形に輝やいた。「帰ったら作ってね」

実は彼女はタイの女性マガジン「HEALTH & CUISINE」の編集長で、帰ると早速、ジーマミー豆腐をコラムにしたいという話になり、ついてはレシピを作り、タイバージョンのニュースタイルも盛り込んで欲しいという。

ワタシトテ、初めて食べたジーマミー豆腐とは言えず、今度は私がニキビができるほど作っては食べ、作っては食べして、やっと完成した。

写真撮影のジーマミ(HEALTH & CUISINEから)

HEALTH&CUISINE

戻ってからも、沖縄熱は冷めないらしい。お土産に買ってきたスクガラスを、こんなことしてる。「Eat with boilded rice」とコメントも付いて、ラインで送られてきた。タイ人らしいアイデアだと思う。

左:タイ風スクガラスのフライ 右:沖縄伝統スタイル 島豆腐とスクガラス

ジーマミー豆腐 10人分

  • 皮なしピーナッツ 2c
  • タピオカ粉 60~70g
  • 塩     小さじ1/2
  • 水     5カップ
  • ピーナッツペースト 大さじ2
  1. ピーナッツを6時間ほど水につける
  2. 水を切り、新たに水5cを入れて、プードプロセッサーで攪拌する
  3. 2を布で越して、絞った汁に塩とタピオカ粉を混ぜ合わせる
  4. 中火にかけ表面が膨れて来たら、弱火で混ぜながら20分煮る
  5. 途中でピーナッツペーストを溶かし混ぜる
  6. カップに入れて冷やす

木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)

★Gaia Table 南国食日記
http://gaiatable.com/diary/

★ヤムヤムホームページ
http://www.gaiatable.com/