一年の中で最も紫外線の照射量が高いのは8月ですが、紫外線量は、4月から急カーブで上昇し9月までの約半年の間、高い数値を保っています。梅雨時の曇りがちな天気の日でも、晴れた日の約半分もの紫外線量があるそうなので、油断大敵ですね。

美白ブームは未だに確固たるポジションを維持していてUV対策は日常化しています。この仕事をしているとUV効果のある植物油の問い合わせをもらいます。植物油にも、紫外線を防ぐ力を持つものはあります。ですが、その作用はUV化粧品の比ではないので、UV化粧品との共用をお勧めしています。

ここでちょっとUV化粧品についてお話ししましょう。

ご承知の通り、多くのUV化粧品にはSPFとPAの表記があり、この数値を購入の目安のひとつにしいる方も多いでしょう。

SPFとはUV‐B波の防御指数で、PAがUV‐A波の防御指数です。紫外線は、UV‐A・UV‐B・UV‐Cという3種の光があり、実際に地表に届くのはUV‐AとUV‐Bです。

紫外線の中のほとんどを占めているのがUV‐A。UV‐Aは、波長が長いため季節や天気に左右されず一年を通して降り注ぎますが、紫外線の中では、有害性が弱いといわれています。しかし、長時間浴びることによって肌への悪影響は増し、UV‐Bよりも肌の深部までダメージを与えます。

それに対してUV‐B。昔は大気層でカットされていたものが、近年のオゾン層の破壊から一部地上に届くようになってきました。UV‐Bは、肌の表皮にダメージを与えますが、その悪影響はUV‐Aの数百倍にのぼり、シミ・皺・乾燥などの美容面の他に、免疫力の低下や皮膚がんの恐れすら出てくるので怖いものです。

いずれにしても、一年を通して‘UV‐A ’‘UV‐B’両方のダメージから肌を守ることが美肌へとつながります。

UV‐Bの防御指数がSPF値。
紫外線を浴びて赤くなるまでの時間をどのくらい延ばせるかの指標です。

UV-Aの防御指数がPA値。
紫外線を浴びて黒くなるまでの時間をどのくらい延ばせるかの指標です。

例えば、
・SPF10~20程度、PA+が日常使い
・SPF20~30程度、PA++が外出に。
・SPF30以上PA+++が海山のリゾート向きです。

しかしここで落とし穴があり、このSPFやPAの値が高ければ高いほど安心と勘違いする人が多いのですが、紫外線防御効果と共に肌への負担も増大します。ちょっと手間になりますが、普段使い・外出・レジャーとその時に合わせたUV化粧品を選んであげたいものですね。

冒頭でお話ししたように植物油にも紫外線を防ぐ作用を持つものがあります。

例を挙げると、小麦胚芽オイル・アボカドオイル・オリーブオイル・ココナツオイル・マカダミアナッツオイル・スィートアーモンドオイル・ホホバオイルなど・・・

特に熱帯生まれの植物油は常日頃から燦々と降り注ぐ太陽の日差しから身を守っているので紫外線ケアでよく名前を挙げられます。しかし植物油のSPF値は、どれもおおよそ5~15程度で、しかもUV‐Aの防御力は期待できません。

では、植物油を紫外線防止として使う利点はなんでしょうか??

それは、そもそも植物油は、紫外線防止が主たる使われ方でなく、乾燥を防ぐ保湿やかゆみや赤みといった炎症を鎮める効果などお肌に滋養を与える目的がメインだからです。オレイン酸、リノール酸などの脂肪酸や各種のビタミンなど肌に良い成分がたっぷり詰め込まれた植物油。保湿・抗炎症・抗酸化etcたくさんの効果のひとつとして紫外線防止効果が含まれる植物油があります。つまり、肌のお手入れの延長線上に紫外線を防ぐ効果がある・・
もちろん、植物油だけでは紫外線は防げません。

しかし良質なUV化粧品と植物油が融合すればお肌に負担をかけない紫外線防止と美肌ケアと一石二鳥です。

最後に少しだけ普段あまり耳にしない紫外線を防ぐ効果を兼ね備える植物油を紹介します。

小麦胚芽オイル 

小麦を挽く際に取り除かれる胚芽を搾油して得られる植物油。ウィートジャームオイルとも呼ばれます。リノール酸やオレイン酸の他にたっぷりのビタミンを含みます。
特に抗酸化で有名なビタミンEを豊富に含み、防腐力のある天然ビタミンE効果から他の植物油とブレンドして酸化防止をするテクニックも有名です。その抗酸化作用からエイジングケアによく使用されますが、その他にも皮脂に被膜を作り紫外線から肌を守ってくれるといわれます。独特の香りと重めのテクスチャーなので、他のオイルとブレンドがおススメです。*小麦アレルギーがある人は使用を控えてください。

[肌質] エイジング肌・乾燥肌[使い方] 独特の香りと粘性が強いため小麦胚芽オイルだけで使うよりも他の植物油とブレンドして使うと使いやすいです。(全体の5%から10%程度を目安にブレンドします。)相性の良いオイルは、マカダミアナッツオイル・スイートアーモンドオイル・グレープシードオイルなど。美肌効果は高いのですが、酸化しやすいローズヒップオイルやイブニングプリムローズオイルなどとブレンドすると上質な美容オイルになるとともに長持ちをさせます。

○スキンケア
保湿作用があるので乾燥が気になる部分に直接塗布します。

○フェイスケア
~朝&夜~
洗顔後、化粧水と乳液で整えた肌にアボカドオイルをブレンドした植物油をマッサージするように肌になじませます。
*UVクリームを使う場合は、この後に使用します。

アボカドオイル 

アボカドの果肉を圧搾して得られる植物油。未精製のアボカドオイルは果肉を彷彿させる緑色のオイルです。オレイン酸、リノール酸、パルミトオレイン酸の他、レシチン、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンEとこれもまた栄養豊富な植物油です。熱帯地方では古くから女性のスキンケアに使われていて現地の女性の肌のつややかさを保つのに欠かせないものでした。ルチンを含むことから紫外線カットにも使用されます。
このアボカドオイルも抗酸化作用を持つビタミンEを含むので、疲れた肌を若々しくつややかに導く手助けをしてくれます。

[肌質] エイジング肌・乾燥肌[使い方] 粘性が強いので他の植物油とブレンドして使うことをお勧めします。(全体の5%から15%ぐらいをブレンドします。)相性の良い植物油は、マカダミアナッツオイル・スィートアーモンドオイル・ホホバオイルなど。

○スキンケア
保湿作用があるので乾燥が気になる部分に直接塗布します。

○フェイスケア
~朝&夜~
洗顔後、化粧水と乳液で整えた肌にアボカドオイルをブレンドした植物油をマッサージするように肌になじませます。
*UVクリームを使う場合は、この後に使用します。

マカダミアナッツオイル 

マカダミアナッツの果実を搾油して得られる植物油。人の皮脂にも含まれるパルミトレイン酸を持つことで有名です。パルミトレイン酸は加齢と共に減少する為、マカダミアナッツオイルは若返りの植物油とも言えます。小麦胚芽オイル、アボカドオイル同様に酸化に強い為、紫外線から肌を守るオイルとしても使えます。

[肌質] エイジング肌・乾燥肌

[使い方] ほぼ無臭でべたつきも少ないため単独で使用できます。

○スキンケア
保湿作用があるので乾燥が気になる部分に直接塗布します。
○フェイスケア
~朝&夜~
洗顔後、化粧水と乳液で整えた肌にマカダミアナッツオイルをマッサージするように肌になじませます。
*UVクリームを使う場合は、この後に使用します。

今年は、UV対策に太陽の日差しから身を守る術を持った植物油をプラスしてみませんか?

この記事を書いた人

Naomi Miki アロマプランナー
アロマ商材輸入卸会社に10余年従事した後、自然化粧品メーカー・医療従事者向けセラピスト国際ライセンススクール等に携わり、物流・商品管理・PR・営業・商品開発・WEB管理・新規店舗立ち上げ・企画と多岐にわたる部門を経験。現在はフリーランスで活動している。長年アロマセラピーの現場で培ってきたノウハウと精油や自然化粧品を製造し取り扱う業者としての視点から、精油の品質やアロマセラピーの基本、自然原料やオーガニックコスメについてなど、自身のライフスタイルを交えて伝える講習活動や、企業PRや商品企画など幅広く対応している。