「AMAZAKEみたいなものってタイにないの?」食べ物にはめっぽうこだわるタイ人達に聞いてみた。砂糖なしのお菓子を作る私にとって甘酒は悲願、当時バンコクの日本人スーパーには見当たらなかった。
「何それ?」「麹??ああ~味噌作るときのスターター。で、作ると、発酵して、えっ!米が甘くなる?」と異文化はまいど落語だ。しかしお米と聞いては黙っていられないタイ人気質に火がついた。タイにないはずがないと考えこむ。ひとりが「ある!カオマークじゃない」と言い出した。一斉にみんなの顔が輝き、そうだそうだと私を置いてきぼりにして、話はどんどん盛り上がり、明朝、市場で買ってきてくれることになった。
「これよ」と渡されたカオマークは青々した葉っぱに包まれ、包みを解くと一口程度の甘酒がこじんまりと入っていて、プーンといい匂いがした。まさに甘酒だ!なんでもカオマークは祭りの時などにふるまわれ、ややアルコール分があるので、たくさん食べると酔っちゃうのだという。スターターはハーブや米や芋で作るようだが、そのレシピはシカとは判明しない。カオマーク屋が存在するというから行ってみたいと申し出たが、今のところいい返事は返ってこない。
ある日のことだ。バンコクでは手に入りにくのかと思ったいたカオマークを、セブンイレブンで発見した。一度目につくと、山菜採りのように次から次に見つかるのもで、結局クオリティーに差はあるが、どこのスーパーでも売っていた。日本人スーパーではコンニャクや豆腐の冷蔵ケースに並んでいた。そう、カオマークはタイの国民食だったのだ。
カオマークと甘酒を比べると米の差がでる。モチっとした日本の米の甘酒に比べ、タイ米で作られたものをあっさりしている。もしかすると甘酒が苦手な人でも独特な匂いが少ない分、抵抗がないかもしれない。
私のカオマークを使ったお菓子レシピは、以後度々タイのマガジンに載った。はたしてタイ人はどう思ったのか?やや心配ではある。が、連載が続いているのだから面白がって受け入れてくれたのだろうと思うことにしている。
タイのアイスクリームは、ココナッツミルクとココナッツシュガーで出来ていて、ピーナッツやらコーンをお好みでかけてくれる。おじさんが自転車をこぎながら売りに来るとどこからともなく人が湧き出て、すぐに順番待ちの人垣ができてしまうほどの人気だ。
私の甘酒アイスレシピも南国バージョンができた。ココナッツミルクとカオマークとココナッツシュガーで作るのだ。写真はベジタリアンマーケットで買った黒米のカオマーク入り。わざとアルコール分を飛ばさず作った。
ラム入りの感じとでも言えばいいのか、なんだかまぶたが重くなってきた。降り出したスコールの雨音がだんだん遠のいていく、しあわせな午後である。
ココナッツとカオマークのジェラード
- ココナッツミルク 300g
- ココナッツシュガー 50g
- カオマーク(甘酒) 100g
- 塩 少々
- 今回は煮たアズキ 適量
- カオマーク(甘酒)はハンドブレンダーで粒をマッシュしておく。
- 1にココナッツミルクとココナッツシュガーを入れ再びブレンダーにかけ混ぜ合わせる。
- 小豆を加える(フルーツでも良い)
- 容器に流し入れ冷凍庫で冷やす
*ココナッツシュガーは、混ざりやすいヤムヤムのペースト状のココナッツシュガー(USDA ORGANIC認証)を使用しています
yumyum coconut sugar / USDA ORGANIC
木幡恵プロフィール
20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。
タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。
■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)
★Gaia Table 南国食日記
http://gaiatable.com/diary/
★ヤムヤムホームページ
http://www.gaiatable.com/