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鮭は一年中入手可能な魚ですが、本来の鮭の旬は秋。鮭は川で生まれ、その後海へと下り成長します。そして産卵時には再び生まれた川を上って一生を終えるのです。産卵のため生まれた川の沿岸へと戻ってくる時期が秋で、この時に獲れる鮭を、秋鮭・秋味(アキアジ)と呼びます。また、本来は秋に獲れる鮭ですが、春から初夏にかけての回遊中、沿岸の定置網で獲れるのものは、時鮭(時不知鮭・時しらず)と呼ばれています。

一方で鮭は養殖も盛んで、その代表的なのが銀鮭やアトランティックサーモン(大西洋鮭)。ちなみに「トラウトサーモン」という品名で販売されているのは、改良され養殖されたニジマス(標準和名)のことです。鮭ではなくてマスだった?と、一時「シャケ弁当」問題が世間をにぎわせたこともありましたが、違いはともかく「トラウトサーモン」という名はすっかり世の中に認知されたようですね。

国産の天然鮭は、旬の時期の秋鮭か春の時鮭(時しらず)と覚えておきましょう。

■白鮭(9月~11月):秋鮭・秋味(アキアジ)
産卵の為、秋に北海道の川に遡上する白鮭(シロザケ)。産卵間近で生殖巣が成熟。そのため身肉に脂が少ない。メスのお腹につまった「生筋子」も同時期に店頭に出回る。

■白鮭(5月~7月):時鮭・時不知鮭・時しらず(トキシラズ)
秋鮭と同じシロザケ。通常秋に獲れるはずの秋鮭が、時を忘れた時期(春から初夏)に獲れることから「時しらず」と呼ばれる。この時期はまだ産卵期でないため筋子や白子はなく、卵巣や精巣も成熟しておらず、回遊期間も短い。そのため身肉に栄養が行き届き、脂ものって美味とされる。

■紅鮭(ベニザケ)
日本近海ではほとんど獲ることができず、多くが輸入されたもの。天然紅鮭は北太平洋やオホーツク海、ベーリング海に棲息しており、ロシアやアラスカなどの輸入が多い。
養殖できず天然ものだが、発色剤など添加物が使用されることも。

■銀鮭
流通している銀鮭の多くは、国内外で養殖されたもの。養殖の銀鮭は、日本だけではなく南米のチリでも行われており、チリ産の輸入銀鮭もたくさん流通している。天然の銀鮭は北部太平洋地域に生息しているが、漁獲量の制限もあり日本ではほとんど水揚げされておらず、日本の河川にも遡上(そじょう)しない。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。