真夜中に親友のエイから、祖父が亡くなったというラインが送られて来た。エイはおじいちゃん子で、おじいちゃんと二人で撮った写真をよく私のラインに送って来た。
エイの祖父は96歳だった。
若い頃はチャオプラヤ川で荷揚げの仕事をし、やがて仕事場に近い向こう岸に、千平米ほどの土地を手に入れた。当時のバンコクは交通手段といえばボートの時代である。
エイも小学校に行くときは家の裏手の小川から、おばあちゃんが漕ぐ細ながい小舟に乗って従兄弟たちと通学したという。
最後までこの土地で、子供や孫など大勢の家族に囲まれ暮らした一生だった。
昔ながらの木造の家
タイ人の寿命は2012年で女性は79歳、男性は71歳である。現在60歳以上の国民は11%となり、高齢化は急速に進むといわれている。
国は公務員には強制加入型の年金制度を、民間企業や農業従事者には医療、失業、老齢をカバーする老齢年金制度「SSF」を実施しているが、恩恵に預かれるのは、労働人口の1/3。残りの2/3は、なんの制度にも引っかからず年老いていくことになる。
だからというわけではないが、タイ人は歳をとると故郷に戻って、大家族の中で暮らすことを選ぶ人が多い。
タイの「家族」は、日本の「家族」とは、だいぶニュアンスが違い、家族といっても親戚、縁者を含め許容範囲が広い。それにみんなで暮らす最大の理由は「なにかあったらお互い助け合っていこうね」ということではあるが、期待度も使命感もパーフェクトを求めあうわけではなく、そこそこ助け合っていこうとするものだ。
具体的な点で、もっとも日本と違う「家族のルール」は、みんなで暮らしながら、ご飯は各自別々、好きな時に、好きなものを食べるというところである。
たまの日曜日の夕食であろうとも、お腹がすいた人は早めに夕食を済ませてもよく、誰かと食べたいならレストランへ、ありつけない人にはなんとなく残しておいてあげるという具合である。
いつ、誰と、なにを食べるべきという、食に関する縛りが存在しないのである。
すると人は随分マイペースでいられるもので、多分、このルールが大家族で暮らすための知恵なのではないかと思う。意固地に同じ釜の飯を食わなくても、充分、みんな淡々と暮らせる。
以前、エイに「一緒に暮らそうよ」と、誘われたことがある。ゆるーいタイのコミューンの中で、好きなように和食を食べて暮らす自分の老後を想像するに…それも悪くないかと、ずいぶん心が揺れたが、意外にも夫の反対で頓挫した。
私の家が立つかもしれなかった場所
そこまで言ってくれるエイのため、ともかく葬儀に間に合うように花を贈らなくてはと思うのだが、いざとなると、どのくらいのものを送ればいいのか見当がつかない。タイの葬式の花は直径 40センチほどのリース型だが、日本人的に皆さんと同じぐらいで、過不足なくと花屋に伝えられるほどタイ語に自信はない。
「とっくに引退してるからお花が少ないの。だからいっぱいお花あるのはうれしいな」
という率直な申し出に、過不足ない花輪なんてもうどうでもよくなって、
「じゃ、エイちゃんが買ってきてくれる?後でお金払うからさ」
と、提案すると、この一言はかなりの衝撃だったらしく
「えー!うちのお葬式の花輪なのに、うちが買いに行くの?」
と、驚かれてしまった。日本では花代後払いで葬儀屋さんがつつがなく用意してくれるのが常だが、タイにはそんなシステムはないようだ。
だが彼女にしても、変なものを買って来られてもという心配もあったようで、ネットで花屋を調べ、あれこれ送られて来るサンプル画像の中から二人で決めた。
サンプル画像
エイの気持ちが先走ったのか、私の予算が多すぎたのか、出来上がった花輪は車の後部座席に乗り切れないほど巨大なものに仕上がった。
出来上がった花輪
立場的には、ゼ.ッ.タ.イ.目立ち過ぎだと思うのだが、もうどうにもならない。異国の人がすることと、ご親戚一同にはご納得いただくしかない。
自宅の庭でのお通夜は1週間にわたり毎晩おこなわれた。
大家族の暮らしは、大都会となった今もしっかりとタイ人のメンタルを支えている。
昔からあるピンク色の麺料理 ミーパット ソースデーン
玄米ビーフンのピンク麺 2人分
【ピンクの素】
- 豆腐よう 2個
- その汁 大さじ2
- 酢 大さじ2
- みりん 大さじ2
- トマトピューレ 大さじ2
- ピーナッツペースト 小さじ2
- 梅酢 小さじ1~
※全てを混ぜ合わせておく
- 玄米ビーフン 2個 ※熱湯に1分つけ戻す
- 小松菜 1/2株
- もやし 1/2c
- 玉ねぎ 1/10切れ
- 厚揚げ 少々
- 水 大さじ2~3
- 油 適量
- 王国のナンプラー3~5振り
- みりんなど甘み 少々
- ピンクスープの素を作っておく
- 玄米ビーフンを戻しておく
- フライパンに油を入れて玉ねぎを炒め、ピンクの素を入れてさっと煮る。
- 玄米ビーフンを入れて、途中で水分が足りないときは水を加えながら炒める。
- 味を見てナンプラーとみりんを追加する。
- 野菜と厚揚げを入れてさっとからめて皿にもる。
魚介を入れるときは3の玉ねぎを炒めるタイミングで入れてください。
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玄米ビーフン
玄米の滋養をそのまま麺に!玄米と水のみで作られた昔ながらのタイの伝統食・ビーフンです。アジアの米文化が生んだグルテンフリーの玄米麺。茹でる手間がないので短時間で麺料理が可能。熱湯に1分つけて、湯を切ってラップしておくと、切れずに上手に戻ります。一人分から調理でき、戻した麺はのびないので無駄になりません。
原料:玄米・水
内容量:120g(40g×3袋)
原産国:タイ
小売価格:420円(税抜)
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二年熟成発酵『王国のナンプラー』
「王国のナンプラー」は砂糖を一切使っていません。甘味はご自分のお好みに応じてお使いいただけます。砂糖を使わずに丸みのある香りと濃くを生み出すには、長いの時間をかけた熟成発酵が必要で、「王国のナンプラー」は二年の熟成発酵期間から生まれた本物の旨みです。魚臭はほどよく抑えられ、深い濃くがタイ料理の伝統の味を作り出します。材料となる魚はカタクチイワシのみを丸ごとを使用。バランスのとれた旨味の一滴を作るため、材料は毎回厳しく吟味しています。添加剤や防腐剤は一切使っていません。
原料:カタクチイワシ・塩
内容量:200ml
原産国:タイ
小売価格:600円(税抜)
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木幡恵プロフィール
20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。
タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。
■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)
★Gaia Table 南国食日記
http://gaiatable.com/diary/
★ヤムヤムホームページ
http://www.gaiatable.com/