スラサックに引っ越した。ここはチャオプラヤ川の近くでオリエンタルホテルからもほど近いエリアだ。表通りはタイ屈指の大手企業の本社が並んでいるオフェス街だが、一歩入ると商店街や住宅街がまだ残っている。下校時には白いシャツに青色のズボンやスカートをはいた生徒たちでにぎわい、お母さんに手を引かれて帰る幼稚園児も多い。だが日本人学校への通学バス経路でないために日本人はほぼ見かけない。

来タイ以来12年も住んだスクンビット地区は、豆腐から蕎麦、うどん、刺身までなんでも揃い、日本語だけで暮らせたありがたい町だった。減農薬やオーガニック野菜も充実していて、食の安全を考えれば、なにも引越しする必要はない。でも高層ビルの間から小さくなっていく空を見上げるにつけ、タイらしさが恋しくなった。

スラサックを選んだのは偶然である。大雨が降っても水が出ないと聞いて決めた。だからご近所がどうなっているか、このところわかってきた。

我が家の西側に高い建物がないのは、それもそのはず墓地だったからだ。イスラム系の盛り土した墓地は広く、イスラム系の食べ物を売る店の小道を入ると墓地の前に立つ小さなモスクが現れる。ここから風向きによってがコーランが聞こえてくる。

我が家の東側には学校がある。マリア像が門に立っているカトリック系の学校で、こちらからは毎朝、礼拝の賛美歌が聞こえる。

隣のソイは唯一タイらしい風情で安心した。

今どきのカフェや床屋、文房具屋、金物屋がひしめいた道だ。しかし散策してみると通りは奥深く、そのうち道の両側に屋台がひしめきだし、扱う食品が中華ぽくなる。いったいどこまでがタイの街で、どこからが中華街なのか、よそ者には見当もつかない。

ソイの中ほどの寺の周りには「斎」のマークがつく精進のお惣菜を売る店があった。昼食用に何種類か調達し冬瓜のスープをコラム用にと写真をとった。だが、よく見ると骨つき肉が入っているではないか!

確かに精進マークがついた店だったし、一緒に買ったおかずは豆腐と野菜の炒め物なのに?…ワンダーランドタイの姿がここでは健在なようだ。

豆腐屋も見つけた。固いタイの豆腐ではなく日本の豆腐を売っている。店の黒板には日本語で商品名や値段が書かれている。

この辺で日本語の見かけたのは初めてだ。豆腐、厚揚げ、豆乳、湯葉まである。店内のカウンターでは豆腐料理を食べることもできるようだ。

実は、この店はタイの大手ラーメンチェーン店の若い世代が最近はじめたものである。ラーメンはタイではすっかり定着した人気の日本食だが、日本からの出店も後を絶たず、ますます激化してる。そんな中で次に注目した和食が豆腐だったのだ。

15年ほど前にある日本人が、タイの固い大豆で日本と同じようなうまい生豆腐を作ることに成功し、いっきに日本豆腐がシェアーを広げた。人気は健康志向にのって、豆腐に飢えていた日本人は勿論、タイ人富裕層にまで波及した。

豆腐はいずれはオーガニックの大豆で作られるまでになるのだろうか。もともと豆乳文化を持つタイは豆腐をデザートに使うことに日本ほど抵抗がなく、いろいろな展開が考えられる。スラサックの路地の奥で挑戦する次世代のニュービジネス、さてどんな未来が待っているのだろうか。

豆腐といちごのケーキ

【ビスケット生地部分】

  • フィンガービスケット 8本
  • ザクロジュース    大さじ3

【いちごムース部分】

  • いちご      200g
  • きぬ豆腐     120g
  • 米油       小さじ1/3
  • 杏仁パウダー   小さじ1/3
  • メープルシロップ 40g
  • 寒天粉      2g
  • ザクロジュース  40cc

【いちごグレース】

  • いちごジャム   大さじ1
  • ザクロジュース  50cc
  • メープルシロップ 小さじ1
  • 寒天       小さじ1/4
  • 飾り用いちご   適量
  • ミントリーフ   適量

作り方

【ビスケット生地部分】

  1. フィンガービスケットは手で砕き、ジュースで湿らせる
  2. ケーキ型の底に水平に敷き詰める

【いちごムース部分】

  1. フードプロセッサーにいちご、きぬ豆腐、米油、杏仁パウダー、メープルシロップを入れよく撹拌する
  2. 鍋にジュースと寒天粉を入れて火煮かけとかす
  3. 2を1に入れて撹拌し、ビスケット生地の上に流す
  4. 冷蔵庫に入れて2時間ほどおく。

【いちごジャム部分】

  1. いちごジャム、ザクロジュース、メープルシロップ、寒天を鍋に入れよく溶かす
  2. 完全に冷えたムースの上に薄く流す。
  3. 固まるまで冷蔵庫に入れる

※ザクロジュースではなくアップルジュースでもできる。色よく仕上げたい時はアップルジュースにハイビスカスティーを入れ赤くする)
※杏仁パウダー入れなくてもOK

木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)

★Gaia Table 南国食日記
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