日本の有機畜産物
「オーガニック」「有機」というと野菜や果物、または農産物の加工品などがまず先にイメージされる思いますが、実は、オーガニックの「畜産物」も流通しています。
2005(平成17)年11月26日に有機畜産物の日本農林規格(JAS規格)が施行されたことで、お肉や卵なども、認証機関で厳しい審査 を受け生産基準をクリアした物に関して、有機JASマークをつけて販売することが可能になりました。(畜産物、畜産物加工食品、農畜産物加工食品については、海外のもので有機の根拠があれば「有機」や「オーガニック」と表示することは現在可能ですが、「有機JAS」としての販売は認証がなければできない。)日本の国内産オーガニックとしては、2006年にはオーガニック牛乳、2008年に有機卵、2009年に有機鶏肉、有機牛肉が、初めて誕生しました。
家畜に与える有機飼料や飼育場などの規制が高いハードルとなり、日本での有機畜産物はまだまだごく一部の製造業者に限られていますが、ハムやソーセージ、バターやチーズなどの有機畜産物加工食品、バターやミルククリームなどの乳製品、卵を使用して作るパン類などの有機農畜産物加工食品など、今後、様々な国産のオーガニック食品の展開が期待されています。
ストレスフリーの採卵鶏
一般に大量生産される卵は、ウインドウレス(窓がない)鶏舎で、温度や光の管理、エサや水などをコンピュータにより管理された中で生産されることがほとんど。一生太陽の光を浴びることなく、電球の光だけで、ケージに囲まれた狭いスペースの中で自由に動き回ることもできずに育てられた鶏が産む卵、ということです。このような環境では、鶏は病気になりやすく、予防や治療に、抗生物質など多くの薬剤が使われることになります。
有機畜産物生産のおもなポイントは、「飼料は主に有機農産物を与える」「野外への放牧などストレスを与えずに飼育する」「抗生物質等を病気の予防目的で使用しない」「遺伝子組換え技術を使用しない」ということ。
オーガニック卵を生産するには、まずは採卵鶏の飼育過程において、鶏たちが健康的な生活ができる状態であることが必要です。
有機飼料を与え、新鮮な水の自由な摂取ができるようにするなど、飼料についての原則が設けられている他、採卵鶏を野外の飼育場に自由に出入りさせることが決められています。また、1羽あたりの家きん舎の広さ、野外の飼育場の広さ、人工照明に関しても日長を延長する場合の1日当たりの限度など、その飼養環境についても細かく基準が設けられています。
アニマルウェルフェア(Animal welfare)、動物福祉の考え方が、ここに反映されています。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。