潮干狩りは小舟に乗って沖合で

潮干狩りは小舟に乗って沖合で2019-08-18T21:17:40+09:00

フリーペーパーを整理していたら「日帰り潮干狩り」の記事を見つけた。 ドーン・ホイロートという海岸でバンコクからそう遠くない。バスで1時間半ほど西に向えばいいらしい。食べ物がからむと俄然その気になるのはいつものことだ。潮干狩り当日の干潮は午後1時だ。小麦色まちがえなしの時間帯だが、暑さもこのさい我慢して長袖で武装し、普段は使わない日焼け止めをたっぷり塗ってでかけた。

現地に着くと小さな海岸はタイ人の家族連れでごった返していた。半島の突端にお寺があり、どうやらその境内のわきから小舟で出向くらしい。すでに船頭たちは小舟で客を運びはじめている。目をこらすと、おお!はるか沖につぎつぎと広大な砂地が顔を出し始めている。

小舟に10分も乗ったろうか、沖合の砂地に到着した。出発したお寺の屋根は豆粒のようで、満潮時だったら、とても泳いでは来れな距離だ。舳先をまたぎ、濡れた砂地に降りると足はみるみる沈み込んでしまう。そのうえゴム草履は砂浜に吸い付いてどうにもこうにも身動きがとれない。なんという粘着質な砂!子供たちは驚いて泣きだし、だっこすれば、私ごともっと深く沈むのだから、貝どころではない。

しばらくは足もとと子供で精一杯だったが、ふと顔を上げると、見渡す限り空と海と砂浜しかない大自然の真ん中に立っていた。障害物一つない半球の空に出合うのは何年ぶりだろう…… 。

砂浜は先ほどまで海底だっただけあって貝の穴だらけだった。どこを掘っても浅蜊や蛤まで出てきた。大きなものだけを拾って小さい貝は砂に戻した。

何時間たっただろうか。気がつけば広大な砂浜は、四方からジワジワと海水に攻めこまれている。私のまわりも5メートルほどの砂浜を残すばかり、あっという間に足首まで水が来た。溺れる!!片手に貝の入ったバスケットを持ち、片手で友達の子供をかかえ、迎えのボートに向って全力で走った。這いずるようにボートにあがり込んだ。振り返ると先ほどまでいた砂浜はもう海底に消えていた。

夕方の渋滞をくぐり抜け、やっと家に帰り着いた。夕食はタイ風にスパイスのきいた貝のスープでもよかった。だが、疲労が激しい時は自国の料理に限るもので、早速、潮汁を作ることにした。鍋に貝を入れ火にかけると貝が開きだす。ポォ~ンポォ~ン。ステンレス鍋に反響してホルンのような音がした。まるで深海から響いてくるようなやさしい音色だった。

浅蜊のタイ風クリアスープ

  • 浅蜊  お椀に1杯
  • 水           2カップ
  • ニンニク スライス   1こ
  • 生姜   スライス   ニンニクと同量
  • パクチー 3センチの長さ3枝
  • 分葱          1本
  • 乾燥唐辛子 1本
  • レモン汁  大さじ2~3
  • ナンプラー 大さじ1~2
  1. 鍋に水を入れニンニク、生姜、パクチーの3/4量、ネギ、乾燥唐辛子を入れる。
  2. 香りがつくまで煮たら、ナンプラーとライムを入れる
  3. 塩抜きした浅蜊を入れ煮立て、貝が完全に開いたら火を止める。
  4. 器に盛りつけ、残りのパクチーをのせる

*レモングラスやコブミカンの葉が手に入ったら1から入れる

木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)

★Gaia Table 南国食日記
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