じつは私と夫は食べることが大好きで、それがこうじて小さな食品会社をしている。なんせ、商売そっちのけで、安全か、おいしいかにトコトンこだわってしまうのだから自分達でも笑える。

今回はその中から、このとこテンヤワンヤだったココナッツオイルのこと。

どんな商品を作るときも、生産者のポリシーや人柄に納得しないと進められないのが常だが、やっとこの人ならというココナッツオイルの生産者を見つけた。彼女は故郷の若者が都会に出稼ぎに行かなくても、生まれた場所に暮らしていける社会にしたいと、このプロジェクトを立ち上げた。家庭では小学生の子供がいるお母さんだが、オーガニックについても深く学んでいた。

ではあるが彼女は大手ではない。だからタイ国内で流通はできても、海外までとなると問題が続出した。まず、ココナッツオイルを詰める口の広いビン探しからだ。タイは常夏なのだ。ここではココナッツオイルはいつでも液体なのがあたりまえ。冬がきて固まってしまう国のことなんか、初めての経験である。

次はフタ。どうやって洩れないようにフタするかだ。機械で閉めるのがいちばんだが、その機械がタイの中小企業ではむつかしい。こうなるとタイ人も意地になる。タイの全ての知恵を集めれば解決できないことはないと民族の誇りをかけてくる。液体ソースのあのビンは洩れない、あの会社に聞きにいこうと誘われて何社まわったことか。あくなき研究は繰り返され、ある日、やはり口の細いビンが最適かもと言われた時には力が抜けた。

そうこうして、やっとこの秋から絶対もれないフタの中におさまることになった。気難しい娘を嫁にやったような気分でひと安心である。

ココナッツオイルの料理はいろいろあるが、寒い季節を持つ、日本がうらやましくてならない使い方がある。タイでは冷蔵庫や冷凍庫がなくてはできないのだもの。

多分、もう寒い地方ではそろそろ白く固まりかけてないだろうか? そう!今!今こそすぐに取りかかってほしいのである。

それは台所でヒマしている香辛料やハーブ類を、塩といっしょにココナッツオイルで固めてしまうのだ。そしてしっかり固まったら一口大に切っておく。こうするといつでも火にかけて溶かせば、油といっしょに香辛料が飛び出すという一石二鳥のブイヨンが出来る!

私が納得できるココナッツオイルは、オーガニックはもちろん、料理してなんぼかである。祖国を離れたうちの娘はその点、日本人とタイ人の主婦が激論の末に出来たのだからもちろん万全。サラサラしていて匂いもやさしく、他の食材と上手にハモる。「母なる大地」とタイ人が愛するココナッツだもの。おいしい食材としてしっかり日本に根づいてほしい。

ブリスケッタココキューブ

  • ミニトマト    100g
  • バジルの葉    適量
  • 塩        5g
  • ココナッツオイル 100g
  1. トマトは5ミリにバジルは細かくちぎる。
  2. 塩とオイルをまぜる
  3. 1と2をあわせ小型のタッパーなどに薄く流す。
  4. 冷凍庫で冷やし、一口大に切って冷蔵庫で保存。

*トマトから水分が多く出るときは種をはずす。

ココキューブのブリスケッタ

  • パン
  • ブリスケッタココキューブ
  1. パンといっしょにキューブをのせてオーブントースターで焼く

木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)

★Gaia Table 南国食日記
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http://www.gaiatable.com/

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