タイは雨季に入った。だが今年の雨季は様子が違う。まるで梅雨みたいだ。雨季というのはスコールが来るシーズンのことで、けしてジメジメしているわけではない。

スコールは通常なら午後3時ごろにやって来る。どこからともなく風が吹きはじめ、バナナの葉っぱが揺れ出す。すると空が一転かき曇り、あっという間にバタバタバタと大粒の雨が振りだす。いやそのすごいこと!隣の人の声も聞こえない。だが泣くだけ泣いたら気がすんだ幼児のようなアッケラカンと終わる。太陽が顔をだし、葉っぱから透明な水滴が落ち、何もかもがリフレッシュされて、すがすがしい空気が充満する。

そのスコールが昨晩の真夜中に来襲し、今日も引き続きどんよりしている。タイも異常気象なのだ。案の定、うちの周りはまだ水がひかない。こうなるとテング熱の噂が聞こえて来る。雨水が空き地に溜まり、媒介となる蚊が発生しやすくなるからだ。

大都会バンコクでもテング熱にかかるのだから、地方の危険度はさらに高い。以前、タイ人の友達とビルマとの国境地帯まで行ったことがある。国境付近の一番大きな町まで車でたっぷり1日、そこから日光のいろは坂がアップダウンするような悪路を4時間走行し、2日がかりでウンパンという秘境についた。目指すカレン族の村はそこからまだ1時間ほど入った奥地だった。着いてみれば、辺鄙なその村は日本の田舎のような里山が広がっていた。村長さんの話では、日本人の訪問は第二次世界大戦中に日本軍の飛行機が不時着した時以来だという。

田舎に行くということで覚悟はしていたが、思ったとうり、蚊の襲来は間もなくやってきた。現地人はもとよりだが、都会暮らしのタイ人も刺されないのが悔しい。バタバタ大騒ぎしているのは、私と今回一緒に来た20代のミナコさんだけだ。町の食堂でしこたま刺されたミナコさんを見たタイ人は「あそこに蚊がいた?」と困り果てた。

実はこの辺はタイでも有数のテング熱発生率をほこる危険地帯だったのだ。それを聞くやミナコさんはテング熱にかかる確率は自分が一番高いと確信した。血に飢えた蚊はうすい衣服の上からでも刺してくる。いつもなら「結構です」と断るのに、私のズボンを躊躇なく借り、自分のズボンの上に私のズボンを重ねてはいた。

夜になると、ホテルの人がコッテージのドアの外に置いておくようにと、強力な蚊取り線香を配って歩く。彼女はその香取線香を自分のベットの下に置いた。タイ人が驚いてそれは強いから外に置くんだといいにきたが、ほっておいてくださいとばかり拒否。日本では二人とも絶対使わない化学薬品満載の蚊取り線香などつかわないのに…。

無念すぎる、なんというていたらく。タイ人やカレン人が蚊に刺されないのはなぜだ? なんで私たちばかり狙うんだ?…どう考えたって、肌から出てるなにかが違うとしか思えない。じゃ何が出てるったって、身体の中で作られるものなわけで、結局、食じゃないかと思うにいたった。

そういえばタイ人が食べるハーブと唐辛子の量はものすごい。初めて山盛りのハーブを出された時は、苦さと匂いでどれひとつ食べることできなかった。だが、そういえばレモングラスは虫除け効果があるし、唐辛子もタイでは防虫剤として使うのだから、ハーブを嫌っていたらタイの蚊にはいつまでたっても刺されっぱなしだ。

タイのハーブはこんなに種類がある。強いアルカリ性を持つハーブでいつも身体を掃除し、暑さで酸性に傾いた身体を補うような食生活なのだと納得する。食べるぞー!

南国暮らししていても、日本人である私たちの食卓はタイ料理ばかりとはならない。だが和食の薬味にタイのハーブをミックスして使うのが定番となった。

しかしなんといってもハーブをいっぱい食べるためにはタイサラダが一番。このサラダは1カップほどの量の野菜を茹でて、ハーブとあえたものだ。白い粉は米を炒って砕いたものだが、ゴマなどで代用できる。本場では唐辛子粉を大さじ2杯は入れる。辛いのが嫌いでない人は騙されたと思って大さじ1杯は入れてほしいところだ。

ミックス野菜のラープ

  • 野菜      粗みじん 1カップ分
  • フランパクチー 千切り   1わ
  • ミント     千切り   1本
  • 赤タマネギ   小玉    1個
  • マナオ汁 (ライム)    大さじ1~
  • ナンプラー        大さじ1
  • 甘味           大さじ1
  • 炒り米をつぶしたもの   大さじ2
  • 唐辛子粉   ほんのちょっとから大さじ1
  1. 小鍋に野菜を入れヒタヒタの水を入れ煮る。
  2. 1の水を切り、ボールに取り出し調味料を入れる
  3. ハーブ、炒り米、唐辛子の粉を加えて混ぜ合わせる

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ハーブガード

農薬や化学肥料を使用してないタイの大地からすぐれた有効性と確実性をもつハーブが育ちます。朝取りしたタイ伝統の虫除け効能があるハーブを水蒸気蒸留装置で丁寧にオイルにし調合しました。シトロネラ、メボウキ、レモングラス、ウコンはACTオーガニック認証ハーブ、コブミカンはタイ カオコー地方の森林から採集しています。発がん性が疑われる化学的薬剤や界面活性剤、保存材を入れていません。化粧品として登録されていますのでお肌にもスプレーできます。また食べ物が置いてあるところなど360度どこにでも安全に蚊を遠ざけることができます。詰め替え用もあります。

ハーブガード 160ml   価格 1,680円+税
ハーブガード詰め替え用濃縮タイプ  価格 2,400円+税(2本分)
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木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)

★Gaia Table 南国食日記
http://gaiatable.com/diary/

★ヤムヤムホームページ
http://www.gaiatable.com/

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