「グリーンカレーとレッドカレーってどう違うんですか?」と、質問されるたびに、どこから話せばいいのか戸惑う。「グリーンは緑の唐辛子を、レッドは赤い唐辛子が使われているから色の違いがあるんです」と答えたりするが、こんな答えをしているとわかったらタイ人に怒られる。タイの人はあの脅迫的な激辛唐辛子を味わうことができ、その旨味について、真剣に語りあえるのだから。

カレー工場を見学に行ったことがある。大きなザルに入った唐辛子、油で揚げてる唐辛子、出来上がって巨大なステンレスの容器に詰められたペースト状のものまで、色鮮やかに唐辛子一色である。なんせ、ぜぇーんぶ、激辛ペーストなのだから、じきに悠長に見学してなどいられなくなった。なにが?って、気体化した唐辛子の成分が、そのらへんを飛び回っているのだ。もちろんマスクはしているが、 ありとあらゆるところから体の中に侵入してくる。マスクの横からも流れ込み咳き込んでしまうのは序の口。目もチクチクしてゴーグルをしてくればマシだったかも!などとバカバカしいことを考える。大げさではないのだ。鼻水はぬぐいようがなくダラダラ、顔や腕の皮膚からは変な汗が滲み出てくる。全身にビーム光線を浴びちゃったような感じだ。

それなのに、なんとこの量のペーストが午前中には屋台やレストランに配達され、消費されるというのだからたまげる。

砂糖もナンプラーも入ってない「王国のカレーペースト」を販売するようになって思うのだが、なぜかグリーンカレーは初めから強烈な人気を博しているのに、レッドカレーはそこそこなのだ。タイ人にそのこと話すと「なんで?何にでも使えるのはレッドカレーじゃない?」という。そのとうり。タイには赤い色をしたカレーは数々あり、そのベースがこのレッドカレーなのだ。グリーンカレーはこれ以上変わりようがないというか、レッドカレーペーストが味噌汁なら、グリーンカレーペーストは味噌に酒粕を入れた粕汁というところだろうか。

レッドカレーがベースになった代表的なカレーは、なんといってもチェンマイ名物の「カオソイ」である。タイ好きな人は一度は食べたことがあると思う。いや大フアンも多いはずだ。北の麺料理でミャンマーの影響を受けているというが、黄色いカレー粉が入ったものは、どこかでイスラム食文化の影響も受けている。

チェンマイに行けば、あちこちで出会える麺料理だが、バンコクでは意外とむつかしい。一般的なものは鳥の足がドーンと入っているので、ベジの私には無理なため難解度はさらに上がる。だが仏教のおかげでバンコクにもベジ対応のレストランは数件あり、きのこで作ったカオソイにありつくことができる。

作り方はタイ+イスラムだから、レッドカレーに日本で普通に売られている缶入りのカレー粉を足せばいいのだ。麺は黄色い中華麺か米の麺を使うのだが、私は乾麺として置いておける便利さからグルテンフリーの玄米麺を使っている。

しかし!誰が考え出したんだろう。茹でた麺の上に揚げた麺を乗せようなんて!パリパリとツルンの組み合わせは印象的である。そのうえ、トッピングが高菜漬けとエシャロット&ライムって、いったい何か国の食の好みが結集しているのだろうか。

今年はもう散ってしまっただろうが、2016年の終わり頃、チェンマイに桜の季節が来たら、お花見しながら本場のカオソイを食べに出かけてみようと思う。

きのこのカオソイ 3~4人毎

  • レッドカレーペースト 大さじ1と1/2
  • カレー粉       大さじ1
  • ココナッツミルク  200cc
  • 水         500cc
  • 昆布        適量
  • きのこ       150g
  • ナムプラー     大さじ1から2
  • ココナッツシュガー 大さじ1
  • バイマックルー   3~4枚(ないときはいらない)
  • 玄米細麺      1袋弱
  • 油で揚げた玄米細麺 5本

トッピングは高菜漬、赤タマネギ、ライム、パクチーなど、手に入るもの適宜。

  1. きのこと昆布でスープをつくる
  2. 玄米細麺を素揚げしておく
  3. 鍋に油 (分量外)大さじ1を熱し、レッドカレーペーストを弱火で炒める。
  4. 3に1のスープ混ぜ合わせ、ココナッツミルク、ナムプラー、バイマックルー、カレー粉、ココナッツシュガーを入れ、15分煮込む。
  5. もどした玄米麺をさっと茹で器にいれ、4のスープをはる
  6. 揚げ麺やトッピングをのせる

※スープの味はナムプラーで、辛さはレッドカレーで調節してください。

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王国のレッドカレーペースト 
玄米細麺 パッタイ 

王国のレッドカレーペースト 50g
小売価格:340円+税
原材料: 唐辛子、ガーリック、レモングラス、ガランガル、カフェライム、シャロット、塩

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玄米細麺 パッタイ 135g
小売価格:420円+税
原材料:玄米、水、塩

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木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)

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