酒造りのプロが、バンコク郊外の自宅で手作りしたという醤油をもらった。舐めてみると、たまり系で、深~いワイルドな味わいだった。すごい根性‥‥なんせ1年中32度~35度の猛暑の中で、どうやってここまでの醤油を作ったのか?!

私も味噌造りはしていた。一番気温が下がる12月を狙い、日本の麹、タイの塩田の塩、タイ産オーガニック大豆を使う。ダガ、コレガ、ナカナカ。。。

タイの塩田の塩

タイ産オーガニック大豆

問題は発酵なのです!

夏ばっかりの季節の中で、醤油も味噌も大苦戦を強いられる。
寒い時に仕込んで、夏を越えて熟成するという仕組みが通用しないのに‥‥どうやってジックリ発酵を進めろというのだぁ~。

室内においた場合、仕込んだ大豆は1ヶ月で1年過ぎたかのような色になる。だが味の方は、麹がうまく働かず塩辛いままなのだ。結局、出しては置けず、冷蔵庫発酵になるが、ズーッと冷蔵庫では発酵せず、微妙にちょこちょこ外に出したりと、神経を使う。

この努力を思い出せば、酒造りのプロが仕込んだ「たまり系醤油」はまさに快挙だ。

市販されているタイ産オーガニック醤油も試して見たいと思っていたので、料理クラスで比較試食会をすることにした。

タイ産オーガニック醤油は「Morisoya」といい、表示を見ると小麦は使っていない。米、大豆、塩、砂糖となっている、グルテンフリーのお醤油だ。

写真左からオーサワ生醤油(オーガニック日本製)、酒造りのプロが作った醤油(たまり系)、小分けしてあるが「本醸造/茜醤油」(オーガニック日本製)、一番右がタイのオーガニック醤油「Morisoya」である。小皿に出して見ると、醤油ってこんなに色が違うんだと驚いた。

あれこれ作って料理した結果、佃煮は「手作りたまり醤油」が断然人気。甘味も、ツヤも、みりんの必要を感じないほどだった。

こぶ佃煮

本醸造オーガニックの「茜醤油」はもちろん、煮物でも炒め物でも、よくあうダシがいらないほどの美味さだ。タイ人のグルメ友にも茜醤油ファンは多い。久しぶりの「生醤油」に至っては、「ああ、こういう醤油もあったよね~」と感激しまくりで、評価にならない。

「Morisoya」は、ややしょっぱく、出し汁を必要とするあっさり系の醤油で、中華のお醤油に近かった。煮物にはいまいちだったが、日本の醤油が持つ、独特の甘い匂りが少ない分、酢や砂糖に混ぜるとよく合うのだ。

香辛料や香菜類と合わせても、辛味や香りがうつりやすく、ベースになる存在といえる。春巻きやシュウマイのタレとしてはよさそうだ。当たり前と言えば当たり前だが、ナンプラーともさりげなく合う。タイ料理のヤム(サラダ)を作っているときに、醤油の風味が強すぎることがあるが「Morisoya」ならその心配はない。

比較試食会の一番人気は玄米ビーフン入りの中華の酸っぱいスープ酸辣湯だった。醤油と酢のスープに、豆乳を入れて分離させるという神業スープは国境を超えた美味さ!

どの醤油でもそれなりに新鮮な汁麺を楽しめると思う。

玄米ビーフンの豆乳酸辣湯

1人分
【麺】

  • 玄米玄米ビーフン 1玉

【スープ】

  • ニンニク   2個
  • ねぎ     10センチ
  • きのこ    50g
  • きくらげ   1~2株
  • たけのこ(大根)千切り 40g
  • 八角    ひとかけ
  • 水     400cc
  • 昆布    5センチ
  • 塩     小さじ3/4
  • 醤油    大さじ2
  • ナンプラー 小さじ1
  • 酒     小さじ2
  • 酢     大さじ1強
  • 豆乳    50cc~
  • ラー油   小1
  1. ビーフンは熱湯に1分つけて戻しザルに上げる。
  2. 鍋にごま油を入れ、ニンニクとネギを炒めたら、他の野菜も加え炒める。
  3. 昆布と水を入れ、塩、醤油、ナンプラー、八角、酒を加えて煮る。最後に酢を入れる。
  4. 別鍋に豆乳を温める。
  5. ビーフンをスープに入れ加熱し、椀に開ける。
  6. 豆乳をかける。
  7. スープが分離したところにラー油を落とす。

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木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

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■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
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★Gaia Table 南国食日記
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