Herrmannsdorfer Landwerkstätten(ヘルマンズドルファー)は、生産、加工、流通までの全てを担うBIO農場。ここは次世代を担う子供たちが、食べ物の生産から消費にわたるすべての段階を体験的に理解する「食育」の場でもある。

農場で飼育されている動物たち。移動式の鶏舎の周囲で自由に歩き回る鶏たち。自農場のオーガニックパンのくず粉や、ハーブ、人参、自然の虫をついばむなどしており、卵黄色をコントロールするためのものを飼料に添加することはない。

もちろん、農場内にある直営の店舗「HOFMARKT」では新鮮な卵が販売されている。

敷地内のあちこちにアートがあるが、Die wahren Schätze der Natur ~自然の真の宝物~と、ジュエリーのように透明のBOXで芸術作品として展示されていた卵も発見。

豚舎も、すぐ手の届く距離で見ることができる。ここでも広々としたスペースを確保。子豚の圧死事故(母豚につぶされて死ぬこと)の防止にもつとめている。

子豚も自由に駆け回れる広場。ここにも、さりげなくアートが展示されている。

好奇心の旺盛な子豚は、仲間のしっぽにかみついたりすることがあるという。その傷口から菌が入って病気になることもあるため、小さい頃に尻尾の先を切ってしまう行為、いわゆる「断尾」が行われるのが一般的だが、もちろんここでは行われることはなくまっすぐ伸びたままだ。過密飼育ではなく十分なスペースを与えられ、ストレスの少ない育て方をしているので、仲間同士で傷つけあうこともないだろう。

そしてオーガニックの飼料で、ゆっくりと時間をかけてのびのびと育てられた豚たちは、同じ敷地の中にあると畜場で食肉処理され、添加物などを使わない無添加のハムやソーセージへと加工される。これらはもちろん直営店舗で購入できる。

先にも述べたように、ここ、Herrmannsdorfer Landwerkstätten(ヘルマンズドルファー)には、「と畜場」があることが大きな特徴。と畜するにあたり、1日前に隣接した室内に移し、できるだけストレスを与えないように努めているという。自農場だけでなく、近隣からの牛や豚のと畜も受け入れているが、その際には車を使わずに歩いて搬入するなど、不安を与えないような配慮もなされる。


「SCHLACHT-HAUS」、つまり「と畜場」。この建物の前には、と畜方法などを写真付きで解説するボードがあり、窓を開けるようにして閲覧することができる。

さらに同じ敷地内には加工場も店舗もレストランもある。日ごろ何気なく口にしている食べ物が、どのように育てられどのような工程を経て食卓へと並ぶのか?「食べ物」を産み出すリアルな生産現場を、子供たちが自由に見て、知って、考える「食育」の場がここにある。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。