ここ数年、消費者の健康志向の高まりから、「ノンシュガー」「ゼロカロリー」「糖質ゼロ」「トクホ」「メタボ」などのキーワードをコンセプトとする飲料がブームとなり、飲料市場を牽引している。これらの飲料に共通する「健康的」であることの意味は、ナチュラル&オーガニック業界のそれとは異なるもの。むしろ対極にあるものが多く、違和感を感じざるを得ないものばかりだ。

そんな「ゼロブーム」「トクホブーム」などの勢いに押されながらも、この1~2年の間、日本でもじわじわと人気が高まり、今まさにブームとなっているスムージーやフレッシュジュース。かれこれ10年以上前から欧米のナチュラルフードショップやジュースバーなどでは人気であり、やっと日本に来たか・・・というのが正直な印象ではある。

本屋さんに行けばスムージーレシピ本がずらり。女性向けの雑誌やWEBマガジン、ナチュラル志向の方のBlogなどでも毎日のように情報が発信され、専門店がオープンしたり、カフェなどでもスムージーが登場するようになった。高額のブレンダーも飛ぶように売れているそうだ。まさに2013年は空前のスムージーブームとなりそうだ。このスムージーブームがきっかけとなり、もっとオーガニックへの関心が高まったり、有機野菜や果物を日常に取り入れるようになってくれたら、嬉しいこと。一過性のブームで終わらせたくない。

All-Natural Juice & Smoothieのバラエティが豊富

アメリカのオーガニックスーパーなどではおなじみ、「odwalla」に代表される100%ナチュラルジュース。これらは濃縮還元ではなくストレート果汁を100%使用しているうえ、低温で殺菌している。だから、風味が損なわれず搾りたてのフレッシュな味わいでとても美味しい。全てではないが、オーガニック認証のものもある。このような製品が日本で展開されないのは、やはり冷蔵販売で賞味期限も短く、品質管理も大変なため、流通から敬遠されてしまうからなのだろうか?搾りたてに近い、フレッシュで健康的なジュース、日本でもコンビニなどで気軽に買えるようになってほしいと思う。

また、1種のみの原料を使ったジュースの他、様々な果物や野菜の組み合わせでつくるスムージー、ビタミンなどを配合したもの、プロテインを配合したもの、KIDS向けのもの・・など様々なタイプのものがある。異なる味、機能、目的別のものが数十種類ほどあって、自分の健康状態や身体に必要なものをチョイスすることが出来る。ビタミン以外にも、スピルリナや海藻類、ルイボスなどのティーやエキナセアなどのハーブなど、自然素材を使用した機能性成分も取り入れており、栄養学・サプリメント先進国のアメリカならではだ。

スムージーが常温保存、携帯可能なタイプとして登場

日本で人気爆発中のスムージーだが、基本は生の野菜やフルーツなどの素材を、ブレンダーで丸ごと粉砕・攪拌して混ぜ合わせて作る。毎朝続けられればいいのだが、なかなかそうはいかないもの。そんな中、常温保存可能なスムージーのアイテムがこの1年の間にとても増えてきている。酵素やファイトケミカルなどをたっぷり含む生のスムージーと、保存可能な加工されたスムージーは別物ではあるが、美味しくて健康的なナチュラルドリンクの選択肢が増えるのは、嬉しいことだ。

ヨーロッパから輸入された瓶入りオーガニックスムージーが上陸後、手軽な紙パックタイプのものもたくさん目にするようになった。海外では、持ち運びに便利なチアパック入りのものなどもある。飲料の容器も年々便利に、そしておしゃれに進化している。イタリアで見つけた、パウチタイプのスムージー(ピュレ)。原材料は数種のオーガニックフルーツのみで、砂糖や添加物は一切使われていない。チアパック(キャップ付きアルミスタンド)タイプで常温保存可能。開封後は要冷蔵のうえ、24H以内に使うよう表記がある。

イタリアのBIO認証フルーツピューレ

日本のオーガニックスーパーの飲料コーナーを見て残念に思うのは、輸入品が多いこと。国産の飲料ももちろんあるが、みかん、りんご、ぶどう、にんじん、トマト、豆乳など、ベーシックなものが多く、トレンドを意識した製品は少ない。そして、産直品のイメージが強く、スタイリッシュさに欠けているのも、非常に残念なところだ。

スムージーやピューレ状のフルーツジュースもそうだが、海外ではオーガニックの果汁100%ジュースの他にも、ナチュラル系炭酸飲料、オーガニックコーラなど、大手メーカーの清涼飲料水に全くひけをとらない美味しさ、そしてスタイリッシュでポップで楽しいパッケージのものがたくさん販売されている。しかも、オーガニック認証マーク付き。海外のオーガニックの飲料業界は現状に満足することなく、常に進化して新しいものを開発している、という印象がある。

オーガニック&ナチュラルフードが安心・安全なのはもう当たり前。美味しいこと、楽しいこと、機能的であること、その時代にあったスタイルのものであること・・・なども求められる時代になったと感じている。日本のオーガニック&ナチュラル飲料市場は、海外の市場の進化にかなり遅れをとっている気がする。オーガニックに興味のない方も思わず手に取ってしまうような、美味しくて楽しい、新しい国産オーガニック製品を、もっと積極的に開発してほしい。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。