春先のこの季節は、花粉症の症状でゆううつな方も多いのではないでしょうか。目のかゆみ、くしゃみ、鼻水…。頭がぼーっとしたり、集中力が途切れたり、早くこの季節が終わらないかと心待ちにしてしまいます。

少しでもラクな状態にしたい、そんな場合に、自律神経のバランスを整えるアプローチと、食事による体の整え方をおすすめします。

自律神経とは、緊張し興奮すると働く「交感神経」と、リラックスしていると働く「副交感神経」からなります。この両者のバランスがうまく取れていると、健康的に作用するのですが、どちらかが過剰に働くと、身体の不調となって表れてくるようです。

医師の石井正則先生(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科部長)曰く、「ヨガには、この自律神経のバランスを整える効果があります。花粉症の症状の一つである鼻づまりは、副交感神経が優位になることで起こりますが、ヨガで自律神経のバランスが整えば、鼻づまりも解消できるでしょう。ただし、あくまで一時的な症状緩和ですので、継続的にヨガに取り組むことが重要です」とのこと。

ヨガのポーズは緊張と弛緩を繰り返すものが多く、呼吸と合わせて動くことから、どんなポーズでも自律神経に対する効果はあると思われます。そのなかでも、効果が期待できる代表的なものを、ヨガインストラクターのマリコ先生に訊いてみました。

■ヨガのポーズ おうち編

ゆったりした服装で、床に座れる環境でおこなうヨガのポーズをご紹介します。

魚のポーズ(マツヤ・アーサナ) 

胸を大きく開くことでろっ骨が広がり、呼吸も深められます。

1)仰向けになり、両ひざを立て、両手のひらは下向きにしてお尻の横におきます。
2)腰を床から少しもちあげ、両腕を背中~おしりの下にしまい込んでから腰を下ろします。
3)両足を伸ばして揃え、息をすいながら両ひじで床を強く押し、上半身を引き上げます。
4)頭頂を床に下ろして胸~のどを開き、(ひじで床を押し続けながら)数回呼吸をします。
5)ひじでもう一度床を強く押して頭を持ち上げ、あごを引いて後頭部を床におろし、腕をお尻の横に戻します。

座ったねじりのポーズ(アルダ・マッチェンドラ・アーサナ)

腹部に刺激を与えることで、内臓を活性化させるポーズ。血流もよくなります。

やり方:
1)両脚を前に伸ばして座り、右ひざをまげ、右足を左腿の外側におきます。
2)左ひざをまげ、左足をおしりのそばに引き寄せます。
3)背すじをのばし、右手を右腰のうしろに置き、左腕を右膝にかけます。
4)息を吸いながら背すじをのばし、息を吐きながら胸を右に向けるように上半身をねじります。数回呼吸を繰り返したら上半身のねじりをとき、正面にもどります。
5)反対側も同じように行います。

前屈のポーズ(プラサリータ・パードッターナ・アーサナ)

背骨を長くのばしたまま、脚の付け根から曲げていくイメージで。

やり方:
1)両足を大きく開いて立ち、両手を腰に添えます。
2)両足で床を踏みしめて、息を吸いながら背すじをのばし、吐きながら上半身を前に伸ばすように腰から前屈します。
3)両手を床に下ろし、数回ゆっくりと呼吸を繰り返します。
4)両手を腰に添え、息を吸いながら上半身を起こして元に戻ります。

「体をそり返す・ひねる、わきを締めるポーズによって交感神経を活性化させると、鼻の中のうっ血した粘膜をぎゅっと広げることにつながり、鼻づまりなどの花粉症の症状の緩和が期待できます」(石井正則医師)。

■チェアヨガのポーズ オフィス編

着替えずに、普段着のままイスを使ってできるヨガのポーズからご紹介します。

チェアヨガ・胸を開くポーズ

胸を大きく開くことでろっ骨が広がり、呼吸も深められます。

やり方:
1)イスに浅めに腰かけ、背すじを伸ばします。
2)両手を腰の後ろの座面に添え、息を吸いながら胸をひきあげます。
3)吐きながら肩甲骨どうしを背中側で寄せて胸を開きます。
4)目線を斜め上に向けて数回ゆっくりと呼吸をくりかえします。
5)息を吸いながら目線を正面にもどし、手をひざの上にのせて休みます。

チェアヨガ・ねじりのポーズ

腹部に刺激を与えることで、内臓を活性化させるポーズ。血流もよくなります。

やり方:
1)イスに浅めに腰かけ、背すじを伸ばします。
2)右脚を左脚にかけ、右手は背もたれを持ち、左手は右ももの外に添えます。
3)息を吸いながら背すじをのばし、吐きながら胸を右側に向けるように上半身をねじります。
4)数回呼吸繰り返したら、上半身のねじりを解き、正面に戻ります。
5)反対側も同様に行います。

鼻のとおりをよくする方法

ヨガのポーズではありませんが、ヨガの呼吸法を練習する際などに、鼻のとおりをよくするテクニックを紹介します。

やり方:
1)とおりが良くない鼻側の手で握りこぶしをつくり、反対側の脇の下にぎゅっとはさみます。
2)圧迫しながら1分ほど待ちます。脇の下は交感神経が集まっている場所で、そこを刺激することで鼻がとおるようになります。

※yoggy magazine「花粉症のヨガ的対策~ヨガで自律神経のバランスを整える~」(著 yoggy たけ)に追加取材して掲載しています。

ヨガのポーズで身体を動かし、鼻もココロもすっきりさせましょう!

もうひとつ。体調を整えるためには、毎日の食生活が大切です。花粉症をきっかけに食生活を見直したという韓国出身のピラティスインストラクター、ジヒ先生にお話しを聞いてみました。

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日本に来てから花粉症になり、春がとってもつらかったです。鼻水がとまらず、ティッシュを鼻に詰めたまますごすほどでした。ある日病院で、「花粉症は治らないんですか?」と聞いたら、お医者さんが「花粉が飛び始める前から薬を飲むか、韓国に帰るしか対処法はないよ」と言われ、ガーンと衝撃を受けました。なんとか自分で症状を軽減する方法はないか、と模索しはじめました。

あるとき、マクロビオティックの本にであい、食べ物で体はできているから、体が食べ物に反応するんだ、と知り、自分を振り返ってみました。当時、ぽっちゃりしてダイエットもいろいろ試していた中で、韓国でよく流行っていた「One Food Diet」という、バナナだけ食べる、トマトだけ食べる、というようなダイエットもしていました。

バナナにトマト、、、体を冷やすものばかり私は食べていたな、とわかり、マクロビで知った、土鍋でごはんを炊いたりするなどを、徹底してやりはじめました。すると、あれもダメ、これもダメ、という制約の多さが今度はストレスになってしまい・・・。そんなとき、韓国ドラマの「宮廷女官チャングムの誓い」という宮廷料理人のお話しで、薬膳を知り、“ふだん食べるごはんが薬だよ”という考え方に共感して、ほどよくいいもの、いい方法をアレンジして取り入れるようになりました。時間がかかるものは続かないので、できること、続けられるようなことをやっていくことが大切かなと思います。

そこで、具沢山味噌汁というのを毎日、一年中飲んでいます。真夏も欠かしません。1日1回は必ず飲みます。薬要らずになりますよ。温かいものを飲むことで、冷えにもいいですし、気の巡りがよくなります。体温が下がると免疫力が落ちると言われています。ここ3年くらいは風邪もひいていません。

旬のものというのは、自然界がプレゼントしてくれている、体にいいもの。なので、旬の食材をプラスして取り入れています。基本は、昆布だしに、にんじん、大根、きのこ類を入れています。季節によって、蓮の実をいれたり、ユリ根を入れたり、これからの時期は菜の花を入れますね。声を使う仕事なので、喉の調子を整えるのに、ごぼうを加えたりします。

飲む点滴と言われるくらいにスゴイパワーフードの味噌汁!食の力って凄いです。昆布ダシの具沢山味噌汁を作って、お弁当にも持って行っています。

※yoggy magazine「my favorite things ピラティスインストラクター ジヒさん」より一部抜粋。

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ダイエットしたり、忙しかったり、おろそかになりがちな毎日の食事。健康な状態を保てていれば見直すこともなかったかもしれませんね。忘れがちですが、日々の食事で体も体調も作られています。ヨガも、食事も、自分自身で体を整えるセルフケアの方法のヒントにしていただければ、幸いです。

石井正則 
医師。JCHO東京新宿メディカルセンター診療部長
東京慈恵医科大学卒業。同大学院卒業。米ヒューストン・ベイラー医科大学・耳鼻咽喉科へ留学。東京慈恵医科大学耳鼻咽喉科医長および同大学准教授。著書に『自律神経を良くすれば、耳鳴り、めまい、難聴もよくなる!』(廣済堂出版)ほか多数。

マリコ
ヨガインストラクター。スタジオ・ヨギー中目黒、渋谷、湘南藤沢、新宿EASTで「リラックス」「ママヨガ」「yoggy yoga in body」等を担当しているほか、ヨギー・インスティテュートでベーシックトレーニングコース(BTC)の講師を務めている。

アパレル会社で接客・販売職をつとめ、不規則で多忙な日々の中、腰痛や冷えで悩み、自身の健康のためにヨガを始める。体の内側から健やかになるのと同時に心の変化に気づき、自分が本質的に求めているものがヨガにあると直感。この喜びを伝えていけたらと思い、本格的にヨガを 学び始める。
著書に、DVD付きBOOK『おうちでマタニティヨガレッスン』(学研)、アプリ『寝たまんまヨガ 簡単瞑想』の「Forest Walk」を考案。

ジヒ
ピラティスインストラクター スタジオ・ヨギーで初めて受けたレッスンがピラティスで、フローピラティスと出会ったのもこのスタジオでした。ピラティスの練習を続けると、なりたい自分になれ、続ければ必ず変化を体験できると私自身が身をもって実感しています。スタジオ・ヨギー神楽坂、中目黒、丸井錦糸町、川崎で、「フローピラティス・ベーシック 」を担当している。
スタジ・オヨギー認定 パワーピラティス ビギナーマット 指導資格取得
国際ホリスティックセラピー協会認定 YOGA Instructor
国際ホリスティックセラピー協会認定 Pilates Instructor
全米ヨガアライアンス200

この記事を書いた人

スタジオ・ヨギー/ヨギー・マガジン
コンテンツディレクター 七戸 綾子

studio yoggy presents「ヨガをする人たちのほんとうのところ」
ヨガスタジオ「スタジオ・ヨギー」を全国20カ所に展開する株式会社ロハスインターナショナルにて、コンテンツディレクターを務める。音声アプリ「音ヨガ」「寝たまんまヨガ」の企画・制作、広報誌やオウンドメディアの編集を経て、2016年「ヨギー・マガジン」を立ち上げ、ヨガにまつわる記事やストーリーを発信している。

これまで一番効果があったダイエットは、炭水化物、脂肪、糖分を抜く“リセットダイエット”だったが(-9kg減)、元来の食いしん坊が災いしてあっという間にリバウンド。鍼灸師であり食事療法士の辻野 将之氏に、東洋医学に基づいたホリスティックな視点を学び、食養生ジュニアコーディネーターに。現在は、旬のもの、ナチュラルな素材のものを美味しく食べることを心がけている。