秋のアロマを彩るメドウズのナチュラルインセンスにまつわるお話しをしたいと思います。

メドウズのナチュラルインセンスは、南インドにあるインセンス工場で作られています。インドは、近年の著しい経済発展で注目の国となっていますが、国内での貧富の格差はまだ大きいのが現状です。特に、このインセンス工場がある南インド地域の貧富の格差は顕著です。又、女性は家族への金銭的貢献度が低いとみなされている為、就職よりも早く結婚をして、婚家の家事に従事することも珍しくありません。そんな男尊女卑の状況の中、彼女達がこのインセンス工場で働くことは、彼女達の存在を大きく変化させました。

この工場では、多くの若い女性達が働いていますが、彼女達には快適な労働環境と適正な賃金が支給されています。その賃金は、彼女達の家族の助けになりました。彼女達もきれいな衣服を身につけ、髪の毛には花を挿したりと自分を飾ることができるようになります。又、このインセンス工場では、彼女達の賃金の約10%程度を共済基金として預かり、退職時にそれを約2倍にして彼女達に渡します。彼らの社会では、昔は17歳~18歳頃結婚をしていましたが、この工場で働く女性達の平均結婚年齢は、23歳~24歳です。結婚後も、退職せずにこの工場で働く女性達が年々増えています。

その他にもこの工場では、彼女達が自転車を購入する援助をしており、ローン購入の整備や大量購入して価格を安くする交渉をしています。この工場で働く若いインド人女性にとって自転車は自由と独立を意味します。彼女達にとって、自転車はステータスのひとつになりました。

ダーリン・ペインは、南インドのNGOと協力して、このインセンス工場でインセンスの製造を行っています。このインセンスには、ひとつひとつハンドメイドであること(雇用口の確保も目的)、外箱まで手作りであること、インドの社会問題が凝縮した商品であるという特徴があります。

少しインセンスについても、お話をしましょう。

雑貨屋さんでもよく目にするインセンスですが、その成り立ちを知っている人は意外に少ないかもしれません。インセンスは、精油の蒸留法が発明される以前の紀元前エジプトで生まれました。初めは、地上の物質を燻して、らせん状に昇る煙で神に対する祈りと感謝を天に届けました。インセンスは、宗教的な儀式の際に焚かれると同時に、生活空間の燻蒸消毒などに常に使用されていました。現在、日本では種類豊富なインセンスが雑貨屋さんや百貨店などで手軽に購入することができます。

しかし残念ながらそのほとんどが合成香料や合成着色料を原料としているカラフルなインセンススティックやインセンスコーンが主流で、しかも比較的安価に購入することができるので、原料成分を気にせず気軽に購入する方も多いことでしょう。又、化粧品は全成分表記が義務付けられていますが、インセンスは雑品扱いのため、全成分表記の義務付けがなく商品を見ただけではわかりません。多くの安価且つカラフルなインセンスには、石油系原料を多用しているケースも多く、人によってはその強い芳香から頭痛や吐き気を催してしまう人も見られます。

又、インセンスの燃焼を助けるものとして、硝石(硝酸カリウム)を加えているものもありますが、この硝石という化学物質は、煙草の製造にも使われ、燃やすと有害な煙を出し気道を刺激し気分を悪くする場合もあります。手軽に癒しの空間を演出できるインセンスの愛用者数は、常に一定数を保っており小さい市場ながら人気の商品ですが、有害な物質をばらまいてしまっては、せっかくの癒しの空間が台無しになってしまいますね。品質の良いインセンスは、芳香には精油などの天然香料を使用し、燃焼を助ける素材には、植物の樹皮(タブノキなど)をベースとしており、一般的に硝石は使用していません。

さあ、メドウズのインセンスのお話に戻しましょう。

イギリスのメドウズでブレンドされた精油は、南インドのインセンス工場へ送られ、現地にて手作業でインセンスが作られます。商品製造の際ほとんどの作業工程を機械ではなく手作業を中心に行います。これは雇用の機会を増やし、生産地の経済的自立を手助けする目的があります。

商品ラベルや説明書は、プリンターなどを使わず版画で刷られます。版画はひとつの版で一色しかすることが出来ないため、ひとつのラベルを作るのに最低でも3版必要となります。それだけ手間と時間がかかりますが、温かみと優しさを表現することが出来ます。

又、外装パッケージには、インドのタミル語の新聞を再利用。柄ゆきもひとつひとつ異なり、世界に一つしかないオンリーワンのパッケージが誕生しました。そして、タミル語の新聞の再利用は、インド政府からも高い評価を得ることが出来ました。南インドで製造しているインセンスには、ダーリン・ペインの「インドの実情を一人でも多くの人に知ってもらい、女性の地位向上への理解を深めてほしい」という願いが込められています。

ひとつの商品にもこんなに素敵な物語があるメドウズ。

これもメドウズの商品を通して、人と人・人と植物・人と動物そして人と環境を結び付けたいという気持ちの表れですね。

この記事を書いた人

Naomi Miki アロマプランナー
アロマ商材輸入卸会社に10余年従事した後、自然化粧品メーカー・医療従事者向けセラピスト国際ライセンススクール等に携わり、物流・商品管理・PR・営業・商品開発・WEB管理・新規店舗立ち上げ・企画と多岐にわたる部門を経験。現在はフリーランスで活動している。長年アロマセラピーの現場で培ってきたノウハウと精油や自然化粧品を製造し取り扱う業者としての視点から、精油の品質やアロマセラピーの基本、自然原料やオーガニックコスメについてなど、自身のライフスタイルを交えて伝える講習活動や、企業PRや商品企画など幅広く対応している。