「プロテイン」というと、一昔前までは牛乳、卵、大豆が原料のものが主流。必要なたんぱく質を、余分な糖質や脂肪分をおさえながら効率的にとりたいアスリートや、ウェイトトレーニングで筋肉をつけたい方、ダイエット中の方のめの代替食品である、というイメージが強かった。日本ではあまり一般の方が日常で食べるものではなく、ましてや菜食主義の方や、オーガニックライフにはほぼ無縁の存在だった。プロテインは、ムキムキマッチョな肉体改造のためのものから、ヴィーガンやローフーダーのタンパク源補給、すべての人のトータルバランス栄養食として日常に取り入れられ、幅広い層に愛用されるように。そして、多種多様な素材の中から、ライフスタイルや体質によって選択する時代になってきた。

サプリメント大国アメリカでは、プロテインなど機能性の高い健康食品にも、素材を重視したオーガニック認証の製品がたくさん存在する。オーガニックスーパーのサプリメントコーナーでは、定番のホエイプロテイン、大豆プロテインの他に、「ライスプロテイン」「RAWプロテイン」「HEMPプロテイン」「PEAプロテイン」など、様々な種類のプロテインがカテゴリーごとに分類されて並んでいた。乳製品が体質に合わない人、動物性食品を食べない人は、植物由来のヴィーガンプロテインを。大豆にアレルギーがある人、ホルモンバランスを考えて大豆の摂取を控えている人、非発酵大豆を控える人などがソイフリーのPEAプロテインを。ローフード実践者や酵素の摂取を考えている人はRAWプロテインを選ぶ・・・といった具合に、食生活や体質、体調、摂取目的にあわせて多くの選択肢の中から自分に合ったものを選ぶことが可能だ。

Natural Prpducts Expo West 2014で特に目立っていたのは「RAWプロテイン」。日本ではまだRAW FOODは一部の愛好者にしか広がっていないが、米国では完全なるローフード実践者だけではなく、幅広い層の人に受け入れられている。これらの製品に見られる特徴は、「RAW」であること以外に、野菜やフルーツ、スプラウトシードや穀類など様々な食べ物を何十種類も、ホールフード(丸ごと)で組み合わせることにより、ビタミンやミネラル、酵素をバランスよく、より自然なかたちで摂取ができるようになっていることだ。また、その原材料となるもののほとんどがオーガニックのもので、さらに製品に認証マークがついているのだからすごい。

プロテインのトレンドは、全体としては「動物由来」より「植物由来」のものへと変化してきているようだ。もちろん、ホエイプロテインも健在なのだが、植物由来同様よりナチュラルなものへ、さらに素材にこだわったものが求められるようになってきた。「GRASS-FED」、牧草を食べて健康的に育った牛のミルクを使用したホエイプテインなんていうものまで登場するほどだ。

日本のメーカーのプロテインの、大抵のものには様々なビタミン類の他に香料や甘味料なども添加されている。シンプルな大豆だけを使った無添加のプロテインがあったとしても、残念ながら原料の大豆が「オーガニック」というわけではない。今までのプロテインは、栄養価の高さ、吸収の良さ、飲みやすさ、溶けやすさ、味の良さ、、などを重視して開発されてきたが、これからはより自然なかたちで、素材を重視した製品作りに期待したい。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。